愛媛大学


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愛媛大学について愛媛大学憲章


はじめに 愛媛大学の理念 愛媛大学の目標 愛媛大学憲章

愛媛大学の理念

100年の伝統に学ぶ

20世紀を牽引した西洋型の進歩史観による近代化にかげりが見えて,いま世界はそして日本は新しい秩序と調和を求めて模索状態にある。不透明な未来を前にして国立大学法人として新たな歩みを始めた愛媛大学は,人類が平和で,持続可能な発展を遂げるという高邁な理想を追求するために世界の研究と教育の一翼を担うものである。

振り返れば,近代日本は幾多の困難で不確実な時代を克服してきた。愛媛大学もまたその前身校から多くの伝統を受け継ぎながら歴史の試練を乗り越えてきた。われわれは,先人たちが残した有形無形の遺産から学び,次の時代に向けた教育研究を発展させなければならない。

ここ愛媛の地は,俳句・短歌革新運動を先導した正岡子規に代表されるパイオニアたちを輩出し,新たな時代を切り拓く革新と進取の気概を醸成してきた。こうした歴史的・文化的背景を基礎に前身校は,「自由闊達な精神,自治と自立の意識」を確立し自主性を尊ぶ精神や人材を丹念に養成する気風を育ててきた。第二次世界大戦後,敗戦の混乱を乗り越えて平和国家の建設を目指す気運のなかで,新しい学校教育法に謳われた大学の目的「大学は,学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的および応用的能力を展開すること」を実現すべく,新制の国立愛媛大学は発足した。それ以降,世界情勢の荒波にもまれ困難な現実に直面しながらも,先人たちは地域に立脚して平和で民主的な社会を建設するために尽くしてきた。これらの努力の賜物として今日の愛媛大学の伝統があることを改めて認識したい。

愛媛大学は,人類の未来を切り拓く人材を育成するために,「革新と進取の気概」をもちつつ,「自由な精神の上に自立した個人を養成」する伝統に学ぶ。そして,この伝統を踏まえながら,新しい理念と目標のもとに特色ある教育研究活動を展開する。

知の共同体を築く

近年,日本社会のあり方は大きく変貌した。昔,地域には若い世代の成長を大人社会全体が見守る共同体が存在し,その中で若者の先輩・後輩が相互に影響を与えながらアイデンティティを確立した。しかし今や,子どもから大人への社会的教育機能を備えた共同体はほとんど消失してしまい,その機能の大半は社会制度としての学校教育の中で担われるようになった。若者たちの社会的成熟が遅れがちな今日,大学もその責務の埒外にあるわけではない。これからの大学は,かつて共同体がもっていた人間育成の機能を強く意識しながら,大学の使命である人材の育成と知の創造に取り組まなければならない。

愛媛大学は,構成員である学生,教職員それぞれがのびやかで生気溢れる活動が行えるよう,世代の壁を超えた知の共同体の確立を目指す。そのためには,個を尊重しつつ,相互に協調し啓発しあう人間関係の構築が必要となる。その中でこそ,新たな知が共有され,教育研究の機能が十全に発揮される。経験を積んだ研究者の高い研究意欲は若い世代の刺激となり,一方,若い世代の新鮮な発想と問題意識は新たな教育研究への原動力となる。新しい世代は,先学の知識を学び取るとともに,その限界を批判し,やがて従来の到達点を乗り越えていく。このような絶えざる知的発展を促す循環の中においてこそ,大学の活力は保たれる。

それでは,こうした創造的なプロセスが発展するためにはどのような条件を備えていなければならないか。それは一言でいって,すべての構成員が人として対等な立場に立ち,人権の尊重に基礎を置く知的な交流が学内のあらゆる場において保証されることである。愛媛大学は,知の共同体を確立し,先学の努力に深い理解と敬意をもちつつ,自らの知的見解を率直かつ大胆に表明できる若い知性を育成する。

「地域にあって輝く大学」を創る

国立大学から国立大学法人への設置形態の変更は,愛媛大学が発足してから半世紀余りの間でもっとも大きな改革であったのは言うまでもない。この改革によって,目標・計画の立案をはじめ管理運営の大部分が大学の裁量にゆだねられることになり,従来にくらべて格段に自主性・自律性が増すことになった。愛媛大学は,この利点を最大限に生かして,「地域にあって輝く大学」の実現に向け,勇気をもって改革を推進する。

愛媛大学は,設立当初から地域の学術交流の拠点としての使命と役割を担い,地域の理解と支援のもとで発展してきた。この地域性は,大学法人となった今,これまで以上に強く意識されなければならない。ここ愛媛の地は,緑濃い山々と波静かな瀬戸内海に囲まれ,みかんの爽やかな香りが漂う気候温暖な地である。この自然風土が,四国遍路の「お接待」に代表される人々の心根のやさしさや営みの豊かさを育んできた。かつて,この地の人々は自然との身近なふれ合いの中で,自然からの授かり物を糧とし,地域の伝統的文化を守りながら豊かな暮らしを享受してきた。しかし今日では,時空間距離が短縮し,情報交換や人的・物的交流が不自由なく行われるようになり,全国的な生活様式の均一化にともなって人々の意識も急速に変わろうとしている。このような時代にあって,地域住民や行政は自らの文化や歴史を再認識し,自立した地域社会を再生しようと努力している。地域にある総合大学として愛媛大学は,地域の諸課題の解決に向けて,地域の人々とともに考え,行動し,地域社会の自律的発展を支援し,地域から評価され信頼される大学になることを目指す。

愛媛大学は,法人化を契機に,大学が次代を担う若い世代を育てる教育機関であるという原点にもどる。今まで以上に教育機能を充実させ,学生が入学から卒業・修了までの過程で,自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得できる機会と場を提供する。そして,専門知識を習得することのみならず,社会人になってからも主体的に学ぶことのできる能力,すなわち「学ぶ力」を身につけることを重視する。これからの愛媛大学は,学生中心の大学を標榜し,上に述べた知の共同体を確立して,その中で自ら学び,考え,実践する能力を習得できる教育体制と環境を整備する。