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人類史上,鉄は人間社会に多くの恩恵をもたらしました。それは現代社会においても同じですが,身近にありすぎるため,その価値や歴史に対する関心が失われています。特に日本の“たたら製鉄”は世界に類を見ないほど良質の鉄を生産していましたが,その技術の成立には多くの謎が潜んでいます。その歴史を遡ると,今から1500年前の古墳時代に至り,さらに朝鮮半島・中国へとそのルーツをたどっていくことになります。そして日本へ鉄が伝わるまでに,その技術や質は大きく変貌しつつ,各地の社会に多様な影響を与えてきました。当センターでは,発掘で得られた資料に対して考古学的・自然科学的分析を行い,東アジアの鉄(製鉄・鋳造・鍛冶)技術を具体的に解明し,鉄がアジア各地の社会変容に与えたインパクトを明らかにしていきます。
当センターでは遺構・遺物の考古学的研究だけでなく,冶金学的・鉱物学的研究,さらに民族学・文献史学など人文学的研究も加えて,文理融合的な研究を進めます。そのため次の二つの部門を設置しました。
これらの研究のため,専任教員・兼任教員だけでなく,日本の学外機関,中国・韓国・アメリカからも客員教授・客員研究員を招き,考古学・冶金学・鉱物学・文献史学,さらには無形文化財の方の伝統的技術など,多様な学際的活動を行い,リアルな鉄技術・鉄文化を復元していきます。
今後,当センターでは,中国四川省成都平原やモンゴルのチンギスハン宮殿製鉄遺跡,朝鮮半島,日本などで調査を進めていき,その技術を具体的に復元して鉄と人間の関係を多くの方に伝えていきたいと思います。みなさんも鉄の偉大さ・美しさに触れてみてください。