農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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教育・研究内容紹介1カンキツの遺伝子を解き明かす教育・研究内容紹介2カンキツの減収と品質低下を防ぐ羽生 剛 准教授果樹学食料生産学専攻 農業生産学コース愛媛のカンキツ生産の課題に遺伝子の面から取り組むキーワードカンキツ、遺伝子、生理障害愛媛県は現在カンキツ生産量日本1位ですが、将来的にもこれを維持していくためには消費者のニーズの変化に応じた新しい品種を育成することが重要です。しかし、優れた個体を選抜して新しい品種を作るには非常に多くの個体を結実するまで育成し、その後にそれら全ての食味などを調べる必要があるため、多くの時間と手間がかかります。食味や外観、健康にいい成分の多さなどの新しい品種に求められる性質はどのような遺伝子を持つかによって決まるため、もし持っている遺伝子を手掛かりに個体を選抜することができれば、結実まで待つ必要が無いため、新品種の育成効率が非常に高まります。そこで、私たちはカンキツの遺伝子についての研究を行っています。カンキツでは夏から秋にかけて、果肉が大きくなりすぎて果皮が裂けてしまうことがあります。これは裂果といい、愛媛県特産の甘平で特に起こりやすく、裂果した果実は出荷できないため、大きな収穫量の低下を引き起こします。また、カンキツで最も生産量の多いウンシュウミカンでは、果皮と果肉の間に隙間ができる浮き皮になる果実が多く、浮き皮になった果実は食味や貯蔵性が悪くなるので、この浮き皮も生産上の大きな問題となっています。これらの裂果や浮き皮のような病害虫が原因でない発育不良を生理障害と呼びます。私たちは、生理障害による減収や品質低下を防ぐ技術の開発や生理障害になりにくい新しい品種を育成するための研究を行っています。カンキツの裂果8

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