農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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植物細胞の環境と蛋白質品質管理に関する研究植物細胞代謝に関する研究教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2食料生産学専攻 植物工場システム学コースキーワード植物、環境、酵素24恩田 弥生 准教授環境植物学原核細胞及び真核細胞において正しいジスルフィド結合の形成は細胞機能に必須です。ジスルフィド結合形成の阻害は蛋白質の誤った折りたたみを促進し、例えばヒトでは小胞体ストレスや蛋白質凝集による神経疾患を引き起こします。植物細胞、特に種子胚乳細胞はジスルフィド貯蔵蛋白質を活発に生合成・蓄積します。環境変動下、コメでは貯蔵蛋白質の蓄積異常と胚乳品質の低下を引き起こし、この際、ジスルフィド結合形成に必要な酸化力供給のしくみが鍵となります。当研究室では、細胞が環境変動に応答しながらどのようにして細胞環境を維持し蛋白質品質を制御しているのかを研究し、植物が獲得した制御システムに迫ります。細胞外的環境は大きく変動しています。例えば、大気中の二酸化炭素濃度は21世紀末までに現在の約2倍、530から970 μmol m-2s-1に達すると推定されています。二酸化炭素濃度の増加は、高等植物(C3植物)において二酸化炭素の取り込みを増加させる一方、窒素同化を阻害することが明らかになってきました。環境変動に対し如何にして細胞代謝のボトルネックを克服し植物の物質生産性を向上させるか、重要な課題です。二酸化炭素濃度、温度や水といった環境の変動に対し、ダイナミックな植物細胞代謝を制御・最適化し、食糧資源の生産性を維持・向上させる植物分子育種の基盤構築に貢献します。コメ蛋白質の品質管理機構植物の細胞環境構築のメカニズム

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