農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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食品の殺菌について高圧処理を利用した耐熱性芽胞の殺菌教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2森松 和也 講師流通工学食料生産学専攻 植物工場システム学コース長期保存が可能で高品質の加工食品をつくるキーワード殺菌、耐熱性芽胞、高圧処理28食品中で細菌が増殖すると食品の色・食味の変化、異臭が生じ、いわゆる、食品が腐敗した状態になります。食品の腐敗を防ぐため、一般的な食品では、細菌が増殖しないように保存料を加えたり、食品中から細菌を取り除いたりすることで食品の保存性を高めます。食品中から細菌を取り除く手法の一つとして、殺菌が挙げられ、一般的には熱による殺菌が普及しています。熱による殺菌で食品の保存性が高められる一方で、食品中の成分が熱により変化し、加熱臭や色・食感の変化が生じる食品の熱劣化が問題視されています。本研究室では保存性の確保と熱劣化の最小化を目指し、熱殺菌の代わりとなる手段として、熱がほとんど生じない高圧処理に着目して、研究を進めています。耐熱性芽胞は熱殺菌の指標菌として知られ、その殺菌には100℃以上の熱処理が必要とされます。また、高圧力による処理に対しても非常に強い耐性があることが知られ、1000MPaの圧力(大気圧は0.1MPa、水深1万mの水圧は100MPa)でも芽胞は生き残ることができるとされます。一方、高圧処理では芽胞を殺すことはできませんが、芽胞の耐熱性を下げることができると近年の研究で明らかにされました。そのため、高圧処理を行うことで熱処理温度を下げても芽胞を十分に殺すことができるものと期待されます。本研究室では高圧処理による芽胞の耐熱性低下に関する研究を進めています。これにより、常温で長期間保存できる高品質食品の開発を目指しています。高圧処理を利用した芽胞の殺菌本研究室で使用している高圧処理装置

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