農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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樹園地を守るための基盤整備の役割教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2農地の分散問題の克服に向けて食料生産学専攻 食料生産経営学コースキーワード地域資源、農地保全、基盤整備景観の形成など、地域固有の資源として様々な役割を果たしています。32地域資源管理学松岡 淳 教授農地は、食料の生産以外にも、土砂災害や洪水の防止、地下水の涵養、一方で、農業従事者の減少・高齢化により、近年、耕作放棄地の増加が問題となっています。とくに、樹園地は傾斜地に立地しているケースが多いため、管理に手間がかかり、耕作放棄地の比率が高くなっています。樹園地の荒廃化を防ぐためには、作業道の設置や緩傾斜化などの基盤整備を実施し、作業の省力化を図ることが有効と考えられます。私は、社会経済的な視点から、樹園地基盤整備の実施による、直接的・間接的効果の分析に取り組んでいます。わが国の場合、一般に、農家の経営する農地は、あちこちに分散しています。経営農地が1つの農場としてまとまっている欧米諸国とは、対照的です。病虫害や自然災害のリスクが多かった時代には、農地の分散は、危険分散のメリットがありましたが、トラクターやコンバイン等の機械が普及するようになると、移動時間のロスや燃料費の増加など、デメリットの方が大きくなります。また、意欲的な農家が経営規模を拡大しようとすると、農地が分散してしまうというジレンマが生じています。私は、農地の分散問題の克服に向けて、上で述べた基盤整備や農家間での土地利用調整を、どのような形で行うのがベストなのかを、研究しています。農地が分散している農家の圃場図基盤整備を実施した樹園地地域資源としての農地をどのように守るか

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