農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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環境保全型農業と市場:生産者を育てるのが消費者です教育・研究内容紹介1環境保全型農業の世界へようこそ教育・研究内容紹介2農業経営学胡 柏 教授食料生産学専攻 食料生産経営学コース環境保全型農業で安全安心な食と農のシステムを創るキーワード農業経営、環境保全型農業、有機農業環境保全や食の安全安心を重視する農の取組は環境保全型農業と言います。環境保全型農業において化学農薬、化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わない最高水準の取組は有機農業と言います。SDGsの理念に合致した先端的農業モデルとして注目されています。1990年代以降、有機農業が世界的に拡大し、農地面積の2~4割に達した国も現れています。日本の有機農業面積は世界98番目(2019)で、大きく後れを取っています。私達の研究は、有機農業拡大の阻害要因を解明し、安全安心な食と持続可能な農の構築を目指しています。その1つは、先進的な取組とそうでない取組の違いは何かについての調査研究です。先進的な取組を大量に収集し解析しています。有機農業の取組が大きく遅れている理由は、①で述べた農業経営現場の課題に限らず、食に関する消費者の意識と購買行動を含む市場要因も大きく影響しています。例えば、消費者1人当たり有機食品の年間消費額をみると、有機農業先進国のスイスは約35,000円に達しているのに対して、日本は1,000円程度です。消費者は有機食品に振り向けなければ、環境保全型農業の拡大が困難なのです。そこで私達が進めているもう1つの研究は、どうすれば有機農産物の消費形成と市場拡大が進むかについてです。有機農産物の価格形成と市場環境を多面的に調査研究し、上記①の研究と合わせて多様なニーズに即応可能な情報基盤の構築を目指しています。カリフォルニア州での有機食品市場調査みかん園での現場調査35

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