農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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新たなマグロ類「スマ」の完全養殖技術の開発海産魚類の卵・精子形成と受精に関する研究教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2松原 孝博 教授水産生命科学食料生産学専攻 水圏生産学コース新たな科学技術で地域の水産養殖業を活性化キーワード魚類養殖、マグロ類、完全養殖世界的には魚類の養殖生産量は増え続け、これからの発展産業と位置付けられています。国内では魚ばなれが進み、魚の消費が伸びない状況にある中、サーモンとマグロの人気は衰えることがありません。国内のマグロ類養殖は、クロマグロに限られています。そのため、小型マグロ類「スマ」の養殖に着目し、研究・産業一体型の体制により完全養殖の基盤技術の開発・研究に取り組んでいます。完全養殖は全生活史を人間の手で管理することを意味し、高成長や低水温耐性など優良な形質を持った系統を育種したり、高品質なスマを生産、出荷していける技術につながります。他の研究機関や地域との密接な連携が研究・教育の推進力になっています。マダイやクロマグロなど、海産魚類の多くは極めて多数の卵を産み、受精卵は海水中で浮遊して孵化まで海の表層を漂います。こうした卵は「浮遊性卵」と呼ばれ、海流に乗って拡散して生き残るチャンスを増やします。浮遊性卵が作られるメカニズムには多くの謎が残されています。私たちは、卵内に比重の軽い水を多量に貯めること、その水は生み出される直前に卵黄タンパクを限定的に分解して母親の血液から取り込んでいることを明らかにしておりますが、まだまだ謎だらけです。また、卵の硬い膜には精子が一個だけ通り抜けられる「卵門」という穴が一個しか開いていません。海の中でなぜこの状態で受精が成立するのか、こちらもマニアックな研究が必要です。新養殖対象魚「スマ」39

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