農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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赤潮や魚病の早期発見と発生予測を目指して教育・研究内容紹介1養殖業と赤潮・魚病の関係とは?教育・研究内容紹介2清水 園子 准教授水産環境科学食料生産学専攻 水圏生産学コース赤潮や魚病の発生を予測し漁業被害の低減を目指すキーワード赤潮・魚病、早期発見、発生予測42世界の人口は2011年に70億人を突破し、2050年には96億人に到達すると予測され、世界的な食糧難が危惧されています。そのような状況の中、養殖業は、全世界において今や必要不可欠な食料供給源となっており、その生産量は、世界的に増加の一途を辿っています。しかしながら、有害・有毒プランクトンの増殖による赤潮の発生や、病原体の感染による魚病の蔓延は、養殖魚介類の大量死や品質劣化を引き起こし、持続的・安定的生産を妨げる大きな要因になっています。赤潮や魚病は、完全に防除する方法が確立していない種類が多く、これらの発生の早期発見と早期対策が、漁業被害の低減につながります。赤潮で海水の着色が確認されたときや、魚病で養殖魚の死亡が確認されたとき、すでに漁場に拡大して、対策が間に合わず長期化する場合が多くあります。私たちは、有害・有毒プランクトンや魚病病原体の遺伝子情報を用いて、海水中からこれらを高感度に検出し、発生前や極初期の早期段階で発見・予測を行う研究を進めています。特に赤潮については、すでに早期検出情報を漁業者へICTを用いて情報を発信し、早期対策につなげる取り組みを実施しています。さらに、遺伝子の挙動と海洋環境の関係から赤潮の、魚類の生理状態の変化から魚病の発生を予測する研究などを行っており、持続的・安定的な養殖業に貢献できる研究をしていきたいと考えています。遺伝子情報を用いた赤潮早期検出システム養殖場での海洋調査の様子

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