農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
48/118

食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻野菜類に含まれる健康に関与するリグナン類自然が作り出す化合物の改変とAIへのデータ蓄積教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物有機化学山内 聡 教授生命機能学専攻 応用生命化学コース化学を理解し、自然を考え、人の生活を改善するキーワード有機化学、食品化学、生理活性化合物46野菜は人の健康維持のために重要な食品であると言われていますが、それは、野菜に含まれる多くの有機化合物の働きのためなのですが、その中のポリフェノール類の1種であるリグナン類について人の健康に与える影響を調べました。野菜から抽出、精製によって試験したい化合物を得るよりも、実験室で作る方が効率良く得られるので、リグナン類を多くの反応を組み合わせて合成しました。また、考えられる立体構造も全て合成しました。合成したリグナン類の生物活性試験を行った結果、(-)-マタイレジノールがアレルギー抑制活性を示し、(-)-セコイソラリシレジノールが脂肪細胞に対する抑制活性を示すことが分かりました。植物が本来持つ防御機能として、植物に含まれる化合物には、害虫、病気に対する防御作用を持つものがあります。多くの場合、その効果はそれほど高くはないのですが、これらの化合物の構造を基にして、より高い活性を示す化合物をデザインすることが可能です。この研究を構造活性相関研究、ドラッグデザインといいます。上で紹介したリグナン類の構造を改変してボウフラに対して即効性を持つ化合物及び、植物に病気を引き起こすカビであるAletrnaia alternataに対する抗かび活性を持つ化合物をデザインしました。このような構造と活性との関係を示すデータをAIに入れると新たな医薬、農薬の開発に貢献できます。人の健康に関与する野菜中のリグナン類天然のリグナンから誘導した化合物の抗カビ活性

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る