農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻根寄生雑草を制御する 新奇植物ホルモンを科学し、利用する教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生命機能学専攻 応用生命化学コースキーワードストリゴラクトン、植物ホルモン、根寄生雑草48米山 香織 助教生物有機化学他の植物(宿主植物)の根に寄生し、宿主植物から養水分を奪って生活する根寄生雑草は、アフリカやヨーロッパの農業生産に深刻な被害を与えています(図1)。今後、温暖化やグローバル化によって日本でも被害が起こる可能性は十分に考えられます。根寄生雑草にとって発芽は、寄生開始のための重要な第一段階ですが、根寄生雑草種子は宿主植物の根から分泌される発芽刺激物質を感知して(=宿主植物の存在を認識して)初めて発芽します。宿主植物が不在の時に、発芽刺激物質を散布して発芽を誘導する方法を「自殺発芽」と言います。自殺発芽によって、埋土種子を減らし、寄生による被害を緩和することができます。この自殺発芽に利用できる発芽刺激物質を私たちは探しています。ストリゴラクトンは、根寄生雑草の発芽刺激物質として初めて1970年代に発見されました。その後ストリゴラクトンは、植物にリン酸などの養分を供給する重要な役割を持つ共生菌であるアーバスキュラー菌根菌の共生開始シグナルであることが2005年に報告されました。さらに2008年には、植物体内ではストリゴラクトンが地上部の枝分かれを抑制する新しい植物ホルモンであることが証明されました。このストリゴラクトンは、どのように植物体内では作られて、また土壌中に分泌されているのか?を私たちは調べています。そして私たちの研究でわかったことを、実際の農業生産に役立たせようとしています。図1 根寄生雑草に寄生されたニンジン図2 ストリゴラクトンの様々な機能新奇植物ホルモンの農業応用を目指す!

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