農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
70/118

食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻気候変動下での林冠木の光合成と成長教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2年輪内の安定同位体比の季節変化鍋嶋 絵里 准教授森林資源生物生物環境学専攻 森林資源学コース森林の最上部にアクセスしてメカニズムを探るキーワード林冠、年輪、温暖化68森林は陸域の8割のバイオマスを有しており、CO2吸収源としての役割が期待されています。しかし、近年の気候変動によってCO2吸収量も変化しつつあります。森林のCO2吸収は樹木の光合成により行われ、多くは樹体に蓄積されていきます。よって、森林のCO2吸収を明らかにするためには、その大部分を担う林冠木の生理生態や成長について知る必要があります。そこで、ツリークライミングを利用して樹冠にアクセスし、数十mの高さでの光合成の生理生態的メカニズムに関する研究を行なっています。また、樹幹の年輪を用いて長期にわたる樹木の成長の変化をおい、気候変動との関係性やそのメカニズムについて研究しています。林冠木などの大きな樹木では、光合成による糖の一部を貯蔵し、後から成長などに用いています。このような糖の貯蔵と利用は、成長の変動メカニズムの理解にとって重要と考えられます。樹幹の成長は年輪として刻まれていきますが、この年輪の主成分であるセルロースに含まれる炭素や酸素の安定同位体比を調べることで、光合成による糖が貯蔵したものか否かを推定することができます。そこで、年輪内をさらに細かく分けてセルロースの安定同位体比を分析し、樹冠の成長における糖の貯蔵と利用が季節や年間でどのように変化するかを明らかにする研究を行なっています。林冠木

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る