農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻年老いた”ため池”の健康診断と治療法を考える地震を利用してダムの健康状態を知る教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2小林 範之 教授施設基盤学生物環境学専攻 地域環境工学コースダムやため池のお医者さんになりませんか?キーワード農業水利施設、非破壊検査、信号処理全国に”ため池”は約20万個あり、その75%は100歳を越える「高齢者」です。そのため、これまで活躍してくれていた”ため池”も、補修・改修といった「治療」をしてあげないと「長生き」できないのです。しかしながら、「治療」をするにしても、どこが悪いのか自分で話すことができないので、私たち人間が注意深く「健康診断」してあげる必要があります。そこで、”ため池”を傷つけずに診断ができる比抵抗電気探査や表面波探査といった「非破壊検査」法を用いて、ため池堤体内部を可視化する方法を研究しています。また、人工知能AIによって複数の探査結果を学習し、総合的な診断結果と最適な治療方法を提供する「ため池総合診断システム」の開発を行っています。大きなダムには、地震時にどのような動きをしているかを把握するため、ダムの基礎と天端(一番高い部分)に地震計が設置されています。観測されるデータは地震の加速度であり、それが大きければ、ダムには大きな力が作用することになります。これだけでもダムの挙動を知るうえで非常に貴重なデータですが、Fourier変換やHilbert-Huang変換などの信号処理を行えばダムが揺れやすい地震のタイプがわかります。また、相互相関の一つであるDeconvolution法を用いれば、地震の伝播速度を知ることもできます。この研究では、さまざまな信号処理技術を駆使してダム堤体の劣化度を解析し、その健康状態を把握する方法を追求します。ため池総合診断システムダム堤体の劣化度評価83

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