農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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海水を利用して美味しいミカンをつくる”みつ入りリンゴ”はどうしてできる?教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2食料生産学専攻 農業生産学コースキーワード果実品質、栽培技術、生理障害ミカンは夏~成熟期に土壌が乾燥して水ストレスを受けると、果実に光合成産物を多く分配して果実の糖度が高くなることが知られており、特殊なシートを敷いて人為的に土壌を乾燥させて栽培する技術が普及しています。一方、海水は3.5%程度塩類を含んでいるため、カンキツ園の土壌に処理すると根の吸水が抑制されて樹は水ストレスを受けるとともに過剰な塩が樹体に蓄積して塩害が発生する危険性があります。しかし、濃度や処理量を調整して水ストレスの程度を適度なレベルに調整してやると、落葉などの塩害が発生することなく糖度の高い美味しいミカンが生産できることを明らかにしました。現在、実用技術にするための研究を行っています。‘ふじ’などでよく知られている“みつ入り”は、完熟の証で美味しさの代名詞のように見なされていますが、本当でしょうか?実は、消費者がよく目にする“みつ”は、成熟期に低温に遭遇する必要があるため、松山で‘ふじ’を栽培しても“みつ”は発生しません。一方、通常は“みつ”を見ることがない‘王林’を松山で栽培すると夏の高温によって未熟な果実に顕著な“みつ”が発生し、不思議なことに成熟期に気温が下がると徐々に“みつ”が消えていきます。このように、“みつ”には2つのタイプがあり、‘ふじ’の“低温促進みつ”と‘王林’の“高温誘導みつ”の生理的発生メカニズムの違いを研究しています。山田 寿 教授果樹学海水処理装置‘王林’の高温誘導みつ7美味しい果物で笑顔あふれる健康生活

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