農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻昆虫で魚を育てる成熟リスクの回避による革新的養殖技術の開発教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物環境学専攻 環境保全学コースキーワード魚類養殖、昆虫利用、成熟と成長海をフィールドとする養殖は、人類へのタンパク供給手段として重要であることは間違いありません。しかし、現状の魚類養殖は、エサの主要な原料として、天然の魚を用いており、魚で魚を育てるという矛盾に満ちています。私たちの研究グループは、エサの主原料を魚から、廃棄物から生産できる昆虫に置き換える技術の開発を行っています。昆虫の利用は、養殖飼料原料としての利用に限りません。昆虫には、様々な動物に対する未知の機能性物質が含まれています。例えば、動物のストレスを低減する物質、免疫を活性化させる物質、さらには肉質を向上させる物質などです。私たちは、これらの機能性物質を突き止め、魚類養殖をはじめとする動物生産技術の効率化に貢献できる実践的な研究を行なっています。動物では、性成熟と個体の成長の間には深い関係があります。例えば魚類では、成熟途上の個体では著しい成長を示しますが、成熟し産卵すると成長が停滞します。これは自然現象ではありますが、食料生産としての魚類養殖にとっては、生産性に関わる大きなリスクとなります。例えばブリ養殖では、給餌を行なっていても、産卵期を過ぎると、体重減少、肉質の劣化、変形の発症が起こり、その結果、著しい養殖効率の低下と致命的な商品価値の低下が起こります。私たちの研究グループでは、魚類の成熟と成長の相互関係を分子レベルで解明するとともに、この成熟によるリスクを回避するための革新的な養殖技術の開発を目指した実践的な研究を行なっています。水族繁殖生理学三浦 猛 教授ブリは成熟により著しく体重が減少するヤママユと単離された機能性物質93環境保全型持続可能食料産業の創出

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