農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2020
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1微生物の生きざまから海を知る教育・研究内容紹介2環境と微生物の相互作用を探る生物環境学専攻 環境保全学コースキーワード海洋、物質循環、微生物96大林 由美子 助教海洋分子生態学海洋では主に植物プランクトンによる有機物生産が生態系を支えています。有機物は形を変えて生態系をめぐります。目に見えない微生物である細菌も生態系の重要な構成員です。従属栄養性の細菌は、水中や生物の死骸中の有機物を取り込んで代謝して増殖します。増殖した細菌が他の生物に食べられることにより、食物連鎖に繋がっていきます。しかし、細菌といってもその生きざまはいろいろ。実際の海では、どんな状況でどんな細菌がどんな有機物を取り込むことができ、どんな生物に食べられるのか、また代謝された有機物はどんな分子に変わるのか、などの情報はあまり多くありません。目に見えない微生物の生きざまや生物同士のつながりを調べることから海洋生態系での物質循環のしくみを詳しく知りたいと思っています。海水中の微生物群集が物質を変換する力は、環境が変化したら、どう変わるのでしょうか?例えば、水温が上がったら?特定の化学物質が流入してきたら?極端に水が濁ったら?何らかの理由である種の生物だけが大量に増殖したら?環境の変化は、微生物群集構造や微生物群集の代謝能に変化をもたらす可能性があります。またそうした微生物群集の変化がさらなる環境変化をもたらす可能性や、微生物群集・機能の変化によって環境の恒常性が保たれている可能性もあります。このような、環境と微生物の相互作用を観測と実験の両面から調べ、環境保全における微生物の役割の実態を探っていきたいと思っています。自然海水中の微生物(左)と有機物を加えた海水で増殖した微生物(右)いろいろな深さの海水を採取するための採水器自然の中の微生物に環境のことを取材しよう

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