農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2023
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻君の基質は?〜機能未知酵素の探索〜君の姿は?〜酵素の形を原子レベルで解明〜教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生命機能学専攻 応用生命化学コースキーワード微生物、機能未知酵素、渡邉 誠也 教授立体構造※農学研究科研究グループ(ARG)「生命機能科学応用開発グループ」メンバー微生物は極限環境を含む多様な場所に生息しており、その能力はゲノムDNAに書き込まれている遺伝子から作られる酵素(タンパク質)によるものです。酵素は生体触媒とも呼ばれ、ターゲットとなる化合物(基質)に対する選択性が極めて高いのが特徴です。現在では、酵素そのものよりもゲノムのほうが先に分かる時代になりましたが、膨大な数の「機能未知遺伝子」がその中に埋もれています。それが酵素として働くならば、必然的に基質が存在し細胞内では実際にその物質と出会っているわけですが、機能未知というのは単に私たちがその相手を見つけられていないだけなのです。さしずめ、数年前にヒットした映画「君の名は」ならぬ、「君の基質は?」といったところです。酵素(タンパク質)は、アミノ酸がつながったポリペプチド鎖が特定の立体構造に折りたたまれて初めて機能を発揮できます。ですから、基質に加えこの形を知ることは機能未知酵素研究の次の目標です(まさに、二度おいしい!)。現在広く使われているのは、結晶化した酵素にX線を照射することで得られる回折像から原子レベルで構造を決定するものです。結晶化手法の改良や強力な放射光施設の利用でゴールまでのハードルが低くなったことで、学生でも自前のPCを使って“世界で誰よりも早く”その形を見ることができるようになりました。この構造情報をもとに、産業的に有用なように機能を改変した酵素を作り出すことも可能になります。生化学基質を見つけることは、ゲノムの騒音の中から美しい音楽が聞こえてくるようなものです新たに基質が分かったアコニターゼX酵素の立体構造45君の基質は?

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