農学部・農学研究科教員紹介パンフレット2023
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻樹木の香りが私たちの生活空間を守る生物環境学専攻 森林資源学コース森林で未利用のバイオマス資源の有効利用を目指すキーワード樹木精油、木材腐朽菌、バイオレメディエーション木などの植物の葉や枝は何故、香りがあるのでしょうか?香り成分は有毒なものもありますが、植物は昆虫や動物から身を守るために香りや無臭の種々の化学成分を含有しています。この香り(精油成分)が、人の自律神経系等への効能があるので日常に利用するようになりました。また、無臭の化学成分(抽出成分)は薬としての効能があり有効利用されています。木々のいろいろな香りは、主として炭素数10〜15のモノテルペンやセスキテルペン類で構成される複合臭、つまり、植物の細胞内で調合されたアロマオイルなのです。木々の精油成分は人間の臭覚器から脳に伝わってリラックス効果などいろいろな生理効果が見出されています。精油には抗菌活性もあり、木々の香り(精油成分)がどのように、私たちの生活空間で役立っているか研究しています。キノコは菌糸を木の中に張り巡らして木を造っている化学成分を栄養源にして生活しています。栄養源として菌糸が取り込むときに木の化学成分を化学的に分解しているのです。この木を分解できるキノコを木材腐朽菌といいます。木材腐朽菌とは木材を腐朽する菌類の総称で、木材中のセルロースなどの炭水化物やリグニン(ベンゼン環を持つ複雑な高分子化合物)を栄養源にして生育します。シイタケやエノキタケなどもこの仲間になります。木材腐朽菌には特にリグニンを栄養源として木材中のリグニンを分解する白色腐朽菌があります。この白色腐朽菌が有するリグニン分解酵素はベンゼン環を持つ複雑な高分子化合物を分解する能力を持っています。この分解能力を利用して、ダイオキシンなどの環境汚染物質が分解できることが分かりました。これらのキノコで石油から作られるプラスチックも分解できるか明らかにしようとしています。教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2キノコで環境汚染物質を分解する伊藤 和貴 教授森林化学森林の写真キノコの写真63

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