農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2植物病原菌、染色体、遺伝子病原性をつかさどる染色体病原菌 vs 植物を守る微生物集団食料生産学専攻 農業生産学コースキーワード私は、土壌中に生息する植物病原菌(カビ)の研究を行っています。私が扱っているカビは菌株によって感染する植物が異なり、キャベツなどのアブラナ科植物にのみ感染する菌株や、メロンなどのウリ科植物にのみ感染する菌株などが存在します。しかし、各菌株の宿主植物がどのように決まるかは不明です。これまでの研究で、宿主植物の決定に関わる染色体を各菌株から発見しました。この染色体を失った菌株は、植物に病気を引き起こすことができなくなります。興味深いことに、この染色体は菌株間を水平移動し、染色体を受け取った菌株は植物に感染できるようになります。この染色体から、病原性や宿主決定に必要な遺伝子とその機能の特定や、染色体の水平移動の仕組みの解明を目指しています。土壌中には数えきれないほどの微生物が存在しており、植物に有益なもの、植物に病気を引き起こすもの、明確な影響を示さないものなどが混在しています。植物の根には特定の微生物で構成される微生物叢が形成されており、病原菌に対する宿主保護機能を示すことが報告されています。この宿主保護機能に対して、病原菌はどのように対処しているのか分かっていません。そこで、上述の宿主決定に関わる染色体の遺伝子に着目して、植物ー病原菌ー微生物叢間の相互作用解析を行っています。微生物叢との相互作用に関連する遺伝子候補を見つけたため、その機能解明を通じて病原菌の新たな感染戦略を明らかにすることを目指しています。植物病学植物病原菌(緑)と微生物叢を構成する細菌(赤)の共培養鮎川 侑 助教病原菌の感染戦略を解き明かす病原性染色体の水平移動13

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