農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2分類、進化、昆虫多様性を解き明かす進化の過程を解き明かす食料生産学専攻 農業生産学コースキーワード昆虫は非常に多様な生物です。現在までに約百万種が記録されており、すべての生物の種数の約60%を昆虫が占めています。さらに、まだまだ未知の種が存在しており、数千万種は生息していると言われています。生態や形態も多様性に富んでおり、花や枯木、池の中、海岸、工場、さらには洞窟や地下水、海の上、糞の中、ビーバーの体毛やネズミのお尻など、あらゆる環境に適応して多様な形態・生態に進化しています。昆虫分類学者は、このように類い稀なる多様性を持つ昆虫を1種1種認識していくことで多様性の解明を進めており、私もその一人です。また、彼らの生きざま(自然史)も解き明かすことで、生態や形態の多様性の理解も深めています。昆虫はいかにしてこれほどまでに多様化したのでしょうか?進化の系譜からこの謎に迫ることができます。私の研究しているホソヒラタムシという甲虫には、平たい体型と厚い体型のグループが含まれます。これらのDNAから系統解析をすることで、彼らの種分化の過程を推定できます。その系統関係に体型や生息環境の情報を加えることで、枯木の樹皮下で生活する平たいグループが枯葉上環境に進出することで体型が厚くなったことが分かりました。それでは、異なる環境で天敵に対する戦略も変化したのか?交尾の方法は?餌メニューは?などと、さらなる興味は尽きません。一つ一つ、彼らの生きざまを解き明かしながら、多様化の理解を進めています。環境昆虫学脱皮殻を背負って歩く奇怪なヨツボシケナガキスイの幼虫吉田 貴大 准教授昆虫はいかにして進化多様化したのか?身体が平たいヒラタムシと平たくないヒラタムシ15

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