農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2環境ストレス、水分生理、質量分析未来可能性を広げる1細胞生体計測法の開発と改良1細胞生体計測法を核とする分野横断的な研究推進食料生産学専攻 植物工場システム学コースキーワード高温に伴うイネ白未熟粒(お米の白濁現象)のような農作物の生理障害の多くは細胞レベルで起こります。一般に、生体の約9割を水が占める植物において起こる生理障害の要因解明には細胞レベルの水分状態・代謝解析が有効になりますが、従来、方法論が確立していませんでした。このニーズに応えるべく、当研究グループでは、先の尖ったキャピラリー管を植物の標的1細胞に刺し、細胞膨圧を直接計測することで細胞の生理状態を把握した上で、吸い取った細胞液中の成分(代謝産物)を瞬時に分析する「1細胞生体計測法」を開発しました(研究室HP参照)。近年、この方法を用いて、原形質流動により細胞内を移動する細胞小器官を対象にした代謝産物解析も達成しています。今後も1細胞生体計測法の改良を進めます。当研究室では、細胞レベルから個体レベルの植物の水分状態計測と代謝産物解析とを組合せたアプローチにより、水稲高温登熟障害(玄米充実不足・白未熟粒)や蜜入りリンゴ等の生理障害のメカニズムの一端を明らかにしてきました(研究室HP参照)。現在,高温でお米が実らなくなる水稲高温不稔や愛媛県の主力農産物である高級柑橘栽培における水管理の最適化等の現場の課題にも取り組んでいます。今後も連携する国内外の共同研究機関や企業と協働し、学際的な研究を展開します。植物細胞システム計測学当研究グループで開発した1細胞生体計測法のイオン化部和田 博史 教授植物の環境応答の仕組みを細胞・分子レベルで明らかにするイネ1花粉粒を対象にしたオンサイト細胞計測(左)研究室HPはこちらから(右)23

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