食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2環境変動、触媒植物がタンパク質の構造を変化させるしくみ植物が電子の受け渡しを制御するしくみ食料生産学専攻 植物工場システム学コースキーワード24環境植物学恩田 弥生 准教授植物の柔軟な細胞成長〜タンパク質の形を制御する細胞骨格アクチンは物質の運搬やオルガネラの移動などにおいて重要な役割を担っています。アクチンフィラメントは球状のタンパク質が重合したものであり、重合と脱重合を繰り返して構造変化し細胞成長を駆動します。しかし、植物がストレスに曝されると、アクチンが異常な構造体を形成し、結果、細胞成長が阻害されます。この状況を克服するために、植物は生じた異常なアクチン構造体を再編成することがわかってきました。光、水、無機栄養素など外的環境の変動に応答して、植物は柔軟に細胞・器官の成長を行うことができます。わたしたちは植物のレジリエンスを支えるしくみについて、タンパク質高次構造の変化の視点から研究を進めています。電子の受け渡しは植物の機能や成長に必須な反応です。例えば、植物は光エネルギーを利用し、水分子から電子を引き抜いて酸素を産生します。植物はその電子を多様な酵素群へ分配し、炭素、窒素、硫黄といった無機物からアミノ酸などの有機物を合成することができます。タンパク質は多数のアミノ酸が結合した高分子であり、アミノ酸の間のつながりがタンパク質の構造や機能に重要です。わたしたちはタンパク質の正しい連結をつくる、異常な連結を解く、そして連結を正しく繋ぎ直すしくみを、触媒酵素による選択的な電子の受け渡しとそのネットワークの視点から研究を進めています。
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