農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2分光学、組織学的同定、化学物質高い品質基準で国産品を支える計測現場のなぜ?に答える食料生産学専攻 植物工場システム学コースキーワード28農産物センシング工学選果写真小長谷 圭志 講師計測の技術で農産物の流通を支援する農産物・加工品の輸出拡大等が見込まれることから、品質の揃った生産品を選別する技術が必要とされています。愛媛県はカンキツ出荷額、品種数で全国トップクラスであり、多様な選別技術が必要です。カンキツの出荷時、通常は腐敗果が除かれますが、計測エラーが出ることもありました。この課題に対して、判定を2段階で行うなど異なる方法を重ねることでこの課題を解決できる可能性が見えてきました。国産品が競争力を維持するには、機械の利用、品質の追求、流通の最適化が欠かせません。農産物の腐敗を見極めるセンサの研究においては、工学技術のみならず農学的な連携(園芸学、植物生理学)が必要です。ほ場として植物工場や附属農場も活用しています。農産物を対象にしたセンサ関連のメーカーの方と会うと、設計では想定していない結果が得られたという話を聞くことがあります。例えば、果実の傷を見つけるセンサにもかかわらず傷のない果実で強い信号が出てしまうというのです。研究の立場からは、どうやって傷の有無を判定しているのかを教えてもらい、なるべく計測方法を変えないで判定精度を向上させるアプローチを提案しています。場合によっては、その計測方法では課題を解決できずに、計測方法を変えて開発したほうが現実的かもしれません。カンキツ、ピーマン、トマトの傷は、凸凹の変化、果汁の付着、防御反応、老化などを引き起こしますから、それらのどれかを測定すればよいのです。様々な方法を試行錯誤するし、試行錯誤できる研究領域であると思います。カンキツ表皮が発光して傷が強調されている様子

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