農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2地域活性化、普及、生物多様性地域固有の農産物を活用した地域活性化効率的な農業と生態系保全の両立食料生産学専攻 食料生産経営学コースキーワード36アグリビジネス施設栽培トマト西村 武司 准教授消費者に支持されながら農産物の高付加価値化を目指すかつてはその土地に適した農産物が全国各地で生産されていました。ところが、スーパーマーケットの台頭、農産物流通の効率化・規格化、規模拡大等により、伝統農産物の生産は衰退しました。こうした失われつつある農産物に再び注目し、地域活性化を図ろうとする取り組みが現れています。このような取り組みを支える制度のひとつに、地理的表示(GI)保護制度があります。その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護するものです。ただし、GI登録後の課題として、希少な地域資源をいかに後世に残していくかを考えていかなければなりません。宅地化が進むGI登録されたごぼうの畑施設栽培トマトなどの受粉には花粉媒介昆虫が使用されています。ところが、これらの多くは外国から輸入された外来種であり、施設の外に逃亡した場合に日本国内の生態系に悪影響を及ぼすリスクがあります。このため、環境省と農林水産省はトマト生産者に対して在来種の花粉媒介昆虫への切り替えを促しています。しかしながら、在来種は外来種より働きが悪いと考えるトマト生産者にとって、この切り替えを行う強いインセンティブはありません。このとき、効率的な農業と生態系保全の両立のために何が必要でしょうか。例えば、店頭での農産物のラベルを通して消費者にこの問題を知ってもらうことが、トマト生産者の行動を変える鍵となるかもしれません。

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