食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2酵素、リガンド分子、相互作用代謝反応を触媒する酵素酵素とリガンド分子の相互作用生命機能学専攻 応用生命化学コースキーワード52生化学伊藤 剛 助教生命現象を化学の言葉で理解する生物が低分子・高分子化合物から成るように、生命現象とはそれら分子の機能(相互作用)の結果に他なりません。つまり、個々の分子の機能や構造を解き明かし、その生理的役割を理解することは、生物を理解することと言えます。そうした分子の中でも特に、生体内の代謝反応を触媒する酵素(タンパク質)に注目し、その機能を明らかにしようと研究を進めています。生体内において、いつ、どこで、何のために働いているのか。さらに、どういった触媒メカニズムで機能しているのか。こうした疑問に答えることは、ヒトでは疾病の治療法の確立に、医農薬分野では病害虫や病原微生物などに対する薬剤の開発につながると期待できます。マラリア原虫ミトコンドリアのTCA回路と電子伝達系酵素と基質の相互作用の様式の理解は、その触媒メカニズムを解き明かす上で必要不可欠です。また、酵素機能を制御する阻害剤の結合様式や阻害メカニズムの理解もその重要な手掛かりとなり得ます。こうした酵素とリガンド分子の相互作用は一見難解ですが、化学的に説明が可能です。この相互作用を化学の言葉で丁寧に理解すれば、結合親和性と特異性に優れた薬剤など、酵素機能のメカニズムに基づくドラッグデザインも可能だと期待できます。アミノ酸配列、触媒する反応あるいは立体構造が既に明らかでも、基質や阻害剤の結合様式が未解明のままとなっているタンパク質は数多く存在します。こうした分子間の相互作用を化学の言葉で理解すべく、研究を進めています。
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