農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
90/114

食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2塩類土壌、乾燥地域、水利用ピンチをチャンスに転換する塩類土壌の改良と有効利用地域の伝統知で水利用を工夫する生物環境学専攻 地域環境工学コースキーワード※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−88地域環境整備学メロン栽培農地での土壌水分測定久米 崇 准教授乾燥地域の土と水を工夫して利用して農業を発展させる塩類土壌は、主に世界の乾燥地域に存在し、土の中に多量の塩類を含んでいます。その塩類の起源は、もともと土の中に含まれていたものや、水の流れによって運ばれてきたものなど様々です。内陸では、その塩類が河川や海に排出されずに残ったままになっており、それが水の移動とともに作物を作る土の表層に集まってきてしまいます。多量の塩類を含む土では、浸透圧の関係で作物が水を吸うことができず、成長することができません。そこで、私の研究ではそれら作物の成長を阻害する塩類(ピンチ)を使って食卓塩や塩分に強い作物を栽培する(チャンス)ことで、農業を持続的に発展させていく方法について研究しています。この研究はタイ東北部のコンケン県で実施しています。塩類土壌農地に栽培された耐塩性作物(セスバニア)乾燥地域では、雨の多い日本のようにダムや河川などの水資源が豊富でないため、水の使い方を工夫する必要があります。私が研究をしているトルコの中央アナトリアでは、雨は日本の6分の1以下であり、周辺に河川などがないために、地下にある化石地下水をくみ上げて農業をしています。しかし、化石地下水は一度使ってしまうと、その補充には数百年から数千年単位の時間がかかります。そこで、地域にある伝統的な知を用いて水利用を工夫する方法を研究しています。例えば、メロンを成熟する前に収穫し、付加価値を付けて販売することで、水利用量を減らし収入を上げる方法です。このような方法について、水量を測定・解析し、どの程度経済的にメリットがあるのかなどを研究しています。

元のページ  ../index.html#90

このブックを見る