農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2化学物質の毒性影響とリスクを評価する化学物質の毒性メカニズムを予測・解明する生物環境学専攻 環境保全学コースキーワード農薬や医薬品などの化学物質は、ヒトだけでなく、植物や家畜などにも大きな恩恵をもたらしています。しかし、その一方で、これら化学物質の不適切な使用や廃棄などによって、環境汚染や野生生物への悪影響を引き起こす可能性があります。そこで我々は、生態系(環境)に生息する野生生物や実験動物に対する化学物質の毒性影響を明らかにし、それらの影響濃度と環境中での化学物質の存在濃度などを比較することにより、ヒトや野生生物に対するリスク評価を行い、生態系保全に貢献しています。現在問題視されている有機フッ素化合物(PFAS)や農薬・化粧品成分などを対象として、微生物、無脊椎動物(甲殻類)、魚類、哺乳類などへの影響を評価しています。現在、世界的には2億種以上の化学物質が登録されています。しかし、それらの毒性は十分に理解されていません。そこで我々は、毒性影響として知られる、致死や奇形、繁殖(産卵数・受精率)などの評価に加えて、それらの毒性を引き起こす分子メカニズムの解明を試みています。具体的には、次世代シーケンサーやデジタルトランスフォーメーション(DX)技術などを活用し、化学物質によって影響を受ける遺伝子やタンパク質など生体分子の網羅的発現解析により、毒性のパスウェイやメカニズムを明らかにしています。また、ある特定の毒性に関与する生体分子が同定できれば、その生体分子と膨大な数の化学物質の相互作用を解析することで、特定の毒性を示す化学物質(群)を予測・順位化することも可能となり、化学物質のリスク評価の高度化に貢献することが期待できます。生態系保全学繁殖阻害への関与が指摘されるメダカ女性ホルモン受容体αのタンパク質立体構造モデル石橋 弘志 教授生態系保全を通じて、ウェルビーイングの向上を目指す環境汚染、生態系保全、ウェルビーイング※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−化学物質によるヒメダカ胚の発生異常(左:対照群、右:投与群)91

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