農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2大きな可能性を秘めた小さな生き物『微生物』『環境浄化微生物』&『地球冷却微生物』を探せ!生物環境学専攻 環境保全学コースキーワード94水圏・土壌環境学微生物による環境修復研究室メンバー全員で野外調査&試料採取中光延 聖 教授微生物の力で地球をキレイに土壌、環境浄化微生物、地球冷却微生物※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−土壌は、まるで「微生物の宝箱」のような場所です。耳かき一杯分の土の中に、なんと数千種類、数億匹もの微生物が生息しており、地球上でもっとも微生物の種類が豊富な環境だといわれています。私たちは、この土壌から環境を守るのに役立つ特別な微生物を探し出す研究を行っています。微生物は、目に見えないほど小さな生き物ですが、その小ささを活かして驚くほど早く反応を進めることができます。また、微生物は高等生物が利用できない無機物や有害物質を分解し、エネルギーに変える能力も持っています。微生物を使った環境修復(バイオレメディエーション)は、化学処理よりも環境への負担が少なく、エネルギーを節約し、コストも抑えられるのが特徴です。「環境の世紀」と呼ばれる21世紀に、この技術がどのように私たちの未来を変えていくのか、あなたも一緒に考えてみませんか?私たちは、水、土、大気をきれいにする微生物の研究を行っています。微生物の中には、有害物質を吸着する固体(吸着媒)を自ら作り出すものがいます。たとえば、鉄やマンガンを酸化する「鉄酸化菌」や「マンガン酸化菌」です。これらの特別な微生物を見つけ出し、一種類だけを育てる「単離」研究に取り組んでいます。研究では、微生物が最もよく育つように培養液の物理化学条件を調整することが大切で、生物・化学・物理の知識をフル活用して微生物と向き合っています。最近は、温室効果ガスの一つである亜酸化窒素(N2O)を無害な物質に変える「地球冷却微生物」に注目しています。N2Oは二酸化炭素の約300倍も強力な温室効果を持ち、主な発生源は窒素肥料を大量に使う農地の土壌です。この問題を解決するため、N2Oを消す力を持つ微生物を土壌から見つけ出し、地球温暖化対策に活用する研究を進めています。

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