農学部・農学研究科教員パンフレット 2025年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2メダカやミジンコに化学物質の環境影響を聞くマイクロプラスチック、マイクロカプセルの生態影響生物環境学専攻 環境保全学コースキーワード食品、医薬品、化粧品、衣服、プラスチック製品など身の回りには数万種の化学物質が溢れており、私たちはそれらの恩恵にあずかっていますが、より安全で安心な生活を送るためにそれら化学物質に対する正しい知識を身に着けることが大切です。また人間以外への影響を知り持続可能な生態系を維持することも私たちの責務です。我が国も含め多くの国で化学物質の管理及び評価に生物を使った生態毒性試験が用いられていますが、私たちはその手法を利用し、メダカやミジンコなどを観察することで身近な化学物質や工場排水などの環境影響を明らかにしてより良い未来になることを目指します。近年、プラスチックによる環境汚染が問題になっており、特に微細なプラスチック(いわゆるマイクロプラスチック;MP)の生態系への影響が懸念されています。MPに付着またはMPから溶出してくる化学物質の影響や物理的悪影響が報告されていますが、それらの水生生物に対する毒性作用メカニズムは研究途上にあります。また、代替品となる生分解性プラスチックの環境負荷も不明です。ヨーロッパでは、MPと類似の挙動をするマイクロカプセル(MC)の環境影響も懸念されています。MCは医薬品、農薬、柔軟剤など様々な製品中に応用され、核となる成分を、外殻の高分子化学物質で包んだ微細粒子です。生物に取り込まれたMCが体内で破裂すると、核中の化学物質の種類と摂取量によっては悪影響を及ぼす可能性があります。私たちはそれらの生物影響をメダカやミジンコで明らかにしていきます。環境計測学生態毒性試験に使われるオオミジンコ鑪迫 典久 教授生態毒性試験と環境リスク評価バイオアッセイ、化学物質管理、マイクロプラスチック※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−蛍光マイクロプラスチックを取り込んだメダカ95

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