3 2 1Re生物多様性の保全・回復をめざした川づくり三宅 洋教授河川には魚やエビ・カニ、水生昆虫などいろいろな生物がくらしています。しかし、人間が原因で起こっている気候変動や水質の悪化、川の形の単純化などにより生物多様性が失われつつあります。保全生態学研究室では、愛媛県を流れる200以上の河川で生物と環境を調査しています。この結果をデータベース化し、まず、河川にはどれくらい多様な生物が生息しているかを捉えました。次に、データを解析することによりどのような環境の河川で生物の多様性が高いのか、そして、人間の影響により多様性がどれくらい損なわれているのかを明らかにしています。これらの成果から多様性を保全・回復するための手立てを考え、豊かな生物がくらせる川づくりの方法を提案しています。Re防災設備の性能向上と効率的な設計法の開発木下 尚樹准教授近年、洪水災害や土砂災害などの自然災害の大規模化・頻発化がみられるようになっています。また、南海トラフを震源とする地震の発生が予想されています。道路や鉄道沿線の斜面からの落石災害も同様で、それに対する新しい落石対策工法が開発されています。落石エネルギーの吸収性能を上げることで、より大きなエネルギーを持つ落石への対応も可能にした高エネルギー吸収型と呼ばれる落石防護網が開発されていますが、開発・設計には実物大の現地実験により性能を確認することが義務づけられており、多くの時間とコストがかかっています。そこで、実物大実験とシミュレーション解析を組み合わせることによる落石防護網の性能向上と効率的な設計法に関する研究を行っています。Re自己治癒でコンクリート構造物を長寿命化する河合 慶有准教授コンクリートのひび割れを治癒させるだけでなく、鉄筋の腐食を“勝手に”抑制するという、新たな技術を開発中です。鉄の腐食とは、酸素と水を消費しながら鉄が溶けていく現象です。こういった電気化学的反応は、そこに必要な物質がなくなれば進みません。つまりコンクリート内部の酸素が減ると、鉄筋の腐食反応は遅くなります。社会インフラ材料学ではこのような現象に着目し、コンクリート内部の酸素を減らすことができる材料の探索から研究をスタートさせました。近年注目しているのは、コンクリート内部で呼吸して酸素を消費し、二酸化炭素を出すことで炭酸カルシウムによってひび割れをふさぐ好気性微生物という存在です。なかでも納豆菌は、アルカリ性が強い環境でも生物代謝(呼吸)を行うことがわかったので、その活用について研究しています。03raeshcraeshcraeshc研究者Introduction of
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