folio15
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 正直に申し上げれば、気づいたら重責を担うことになっていた…といったところです(笑)。有難いことに周囲の皆さんから期待され、節目節目で大きな役割をいただいたわけですが、それぞれの立場で貴重な経験をさせていただきました。そして職責を与えられた以上は、自覚を持って責任を果たしていこうという気持ちを抱いてきました。特に学長という大学の舵取りをお任せいただいた今は、その責任の重さを強く感じています。 私は東京出身ですが、愛媛県での人生の方が長くなり、この地にも深い愛着を持っています。愛媛県と愛媛大学がいっそう発展するように、少しでも貢献したいという思いを持っています。少子高齢化、人口減少、自然災害、コロナ禍など、今、社会は様々な問題を抱えていますが、私はよく社会情勢から物事のあり方を考えています。そうして導き出した「来たるべき社会と、その中で地方大学のあるべき姿」を大学運営に活かしていきたいとも考えています。 例えば少子化ですが、受験マーケットに大きな影響を与える「18歳人口」は、2020年が約116万人であるのに対して、2032年は約102万人。実に約14万人も減ってしまうのです。この傾向は年を追うごとに顕著になっていき、特に昨今のコロナ禍により出生数の減少に拍車がかかっていくことは想像に難くありません。日本全体としてどのようにソフトランディングしていくか、また愛媛大学としてどう取り組むべきかを考えた時、やはりコロナ禍は大きな転機となるでしょう。 コロナ禍以前には、地方がどんどん衰退していくと考えられていましたが、密集を避けるという意識が定着したことにより、地方にもチャンスは広がるのではと考えています。大都市より地方の方が安全と捉える人が増えれば、地方に移住する人が増える可能性もあります。 もう一つはデジタルトランスフォーメーション(DX=デジタルによる変容)の影響。デジタル化推進により、物理的な距離に影響されない社会へと変わりつつあり、人と人との直接的な接触は大きく減少していきます。奇しくもコロナ禍により、リモートワークや個食が一般的になり、物流にドローンが使われる時代も目の前にきています。こうした中で懸念されるのは、孤独な時間が増えていくことです。効率的に仕事や学習ができるというメリットも生まれますが、一人で過ごすことに耐えられる精神力が必要になっていくと感じています。そのケアについても、大学として考えていかなければならないと考えています。 今年10月、本学にはDX推進室を新設する予定となっており、ソフト&ハードの両面からDXに取り組んでいく考えです。2021年4月、愛媛大学の学長に就任し、ニューノーマル時代に対応した教育と地域との協働を旗印に大学の舵取りを担う仁科新学長。本学の卒業生であるフリーアナウンサーの合田みゆきさんが、その思いと人となりをうかがいました。|農学部長、理事・副学長(社会連携担当)を 経て、今春学長に就任されたわけですが、 今の率直なお気持ちをお聞かせください。|具体的にはどのような社会情勢から物事を 考察していかれるのでしょうか。full of live information on Ehime University特集「愛媛大学新体制スタート」※撮影の際のみ、マスクを外しています。4地域の皆さまに応援される大学へ。

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