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SDGsでは17の目標が掲げられています。愛媛大学では2019年に「SDGs推進室」を設置し、2020年には「松山市SDGs推進協議会」に入会しました。地域と手を携えながらSDGsの推進に全学をあげて取り組んでいるところです。関連しますが、カーボンニュートラルの推進にも取り組み始めました。サスティナブルな社会づくりのために愛媛大学で取り組むべきことは何かを考えた時、すぐにでもできるのは学内で使われている蛍光灯をLED電球に取り替えるといったこと。しかしこれらは大切であっても、大学が真にやるべきことは、別にあると考えています。本来、大学というのは第一義的には研究機関であり、第二義的には(専門)教育機関であり、第三義的には社会連携・国際連携機関です。教育も社会連携も、研究という土台の上にあることを鑑みれば、SDGsの取組みの中では、SDGsを推進するための研究に取り組むことこそが大切であると考えています。すぐできることは可能な限り取り組みつつ、人類や地域のサスティナビリティに繋がる有用な研究を行い、それを教育や社会連携や国際連携に結びつけていく。それを目指していきたいですね。今春、愛媛大学としては初めての女性副学長として、堀利栄副学長(大学院理工学研究科教授)が就任されました。しかし25人で構成される役員会メンバーのうち、女性は堀副学長も含めて2人だけと非常に少ないのが現状です。もっと多くの女性に大学運営の中枢を担っていただくためには、まず女性教員を増やすこと。そして、全学の学長特別補佐や評議員、各学部の副学部長などに登用することも必要であると考えています。4月以降、各学部の学部長や副学部長との意見交換を行っており、何とか女性が活躍できる体制を整えていこうとしています。また、若手教員や女性教員を採用すればインセンティブを与えるという事業も行っており、各学部の取組みを後押ししています。女性教員のロールモデルも必要です。今回、堀副学長がその道を開いてくれたので、ダイバーシティ担当として新しい風を吹かせてくれることを期待すると同時に、堀副学長の後に続く人が出てくることを願っています。最近の大学に求められる機能に、全世代対応型の「地域における知の拠点」があります。若者だけが大学で学ぶのではなく、社会人が教育と就労のサイクルを繰り返す「リカレント教育」もその一つ。これまで日本人の一般的な生き方は、学び、就労、老後の3ステージにより構成されていました。しかし社会人になっても大学と社会の間での往還を繰り返して、生涯にわたって学ぶ生き方が期待されているのです。こうしたリカレント教育の受け皿となるためには、多様な才能、得意分野を持った教員の存在が必要不可欠。そのために私が考えたのが「半変人の会」。少し変わった経歴や、得意技、人脈を持つ「半変人」がいることで、組織が活気付き、新たな視点を持つことができるのです。もちろん「半変人」の|仁科学長はDX、SDGs(持続可能な開発目標)、ダイバーシティ(多様性)の3つの基本方針を打ち出されています。SDGsについてはどのような考えをお持ちですか。|ダイバーシティについてはいかがですか。|近年、愛媛大学が積極的に取り組んでいるリカレント教育についてのお考えを聞かせてください。地域協働センター南予の開所式での9市町の首長様によるテープカットの様子(2019年10月)。地域協働センター南予は、南予地域における愛媛大学の活動拠点です。愛媛大学の多才な教員が係わり、南予地域の9市町やステークホルダーと協働して、南予地域の諸課題の解決に取り組んでいます。(にしな ひろしげ)1954年生まれ。農学博士。1998年4月に愛媛大学農学部教授となる。その後、愛媛大学農学部長(2011年4月〜2015年3月)、愛媛大学植物工場研究センター長(2012年4月〜2020年3月)、愛媛大学理事・副学長(2015年4月〜2021年3月)を経て、2021年4月に愛媛大学学長に就任。日本学術会議会員。専門分野は農業環境工学、植物工場。          5学長仁科 弘重

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