図1. 沈み込む低温のプレートとその中に含まれる含水鉱物を示した模式的断面図タンパク質(SLFN11)の働きにより抗がん剤の効果を高める仕組み最先端研究 infinity図2. スーパーアースにも適用可能な、地球型惑星構成鉱物の変形機構を示すダイアグラム(右が化合物を投与したアサガオ)研究成果ストックサイト開花後24時間経過したアサガオ(右がEverlastinを投与したアサガオ) 共同利用・共同研究拠点(※)として認定されている沿岸環境科学研究センター、地球深部ダイナミクス研究センター、プロテオサイエンスセンターの研究を紹介します。人口が密集する南・東南アジアの都市域では、未処理または浄化処理の不十分な工場廃水・生活雑排水・し尿排水が河川に流出することによる深刻な水質汚染が問題となっています。本研究では、法的な水質規制の対象外である未規制化学物質の環境動態、環境残留性、水生生物への濃縮性や毒性について、分解・代謝産物も含めた包括的な調査を実施しています。さらに、未規制化学物質とその分解・代謝産物の生態系やヒト健康に与えるリスク(悪影響を与える可能性)を定量的に評価することにより、優先的に詳細調査すべき化学物質を特定します。本研究は、急増する多種多様な化学物質の効果的かつ効率的なリスク管理・低減策を講じるために有用な知見を提供することにより、生態系保全やヒト健康リスクの低減に貢献することが期待されます。GRCでは、ダイナミックな地球内部の活動を探る「動的地球科学」、太陽系内さらには系外惑星の内部を探る「惑星深部科学」、GRCが世界を先導してきた超高圧実験や数値計算技術を活用した「超高圧材料科学」の3つを重点課題にしています。2024年には「動的地球科学」の最新成果が2つありました。1つは、地球の深さ1,000kmの深部マントルにおいて観測される地震波伝播速度の特徴を、高温高圧条件下の実験による鉱物の変形実験で説明(図1)、もう1つは、実験では達成が難しい高圧条件(つまり惑星深部)での物質流動のメカニズムを第一原理計算という数値シミュレーションで明らかにしたものです(図2)。プロテオサイエンスセンター(Proteo-Science Center(PROS))は、愛媛大学で開発されたコムギ無細胞タンパク質合成技術を基盤として、タンパク質機能から生命現象の解明を目指した基礎的な生命科学研究のみならず、薬の副作用解析やがん、自己免疫疾患、マラリアなどの難治性感染症など医学応用研究をしているセンターです。合成したタンパク質を活用することにより、これまでに、アサガオの花の寿命を延ばす化合物(Everlastin)の発見や、がん化学療法の効果を高める重要なタンパク質(SLFN11)の働きの解明など多くの研究成果をあげています。愛媛 大学 公式ホームページの「 最先 端 研究 紹 介 in fi nit y」、「研究成果ストックサイト」では、他にも様々な研究を紹介していますので、ぜひご覧ください。愛媛大学も多くの研究センターを有しており、中には世界最先端レベルの研究を行うセンターや地域に密着したセンターもあります。学生のうちから、これらのセンターでの研究に関わることができます。環境リスクの高い未規制化学物質の探知[ 沿岸環境科学 研究センター ]動的な地球科学 〜地球・惑星の深部で起こる“動き”〜[ 地 球 深部ダイナミクス研究センター( G R C)]薬剤開発を促進するPROSのタンパク質合成・解析技術[ プロテオサイエンスセンター ]19 Ehime University Guide Book最 先 端 研 究 紹 介研究センター 大学には、研究を行うための人員や設備を集めた「研究センター」があります。01 .01 .02.02.03.03.
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