連合農学研究科要覧2020
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 科学と技術を取り巻く環境は,近年急激な変化と発展を見せている。農学の分野もその例外ではない。農学が果たす役割は,伝統的な生物資源の生産に止まらず,人間を含めた生物の生存環境の保全,流通システム,バイオテクノロジーなど多様な分野に拡大し,情報科学や各種の先端技術が取り入れられている。こうした新しい状況に対応するためには,個性的かつ創造的で,高い能力を有する研究者の養成が必要とされ,大学院教育の拡充が急務となっている。本研究科は,このような要請に応えるため,1985年4月に開設された「後期3年のみの博士課程大学院」である。 連合農学研究科は,愛媛,香川及び高知の3大学によって構成され,各大学の修士課程である,大学院農学研究科(愛媛大学,香川大学)及び大学院総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻(高知大学)と連結することによって,個々の大学のみでは期待し難い広い分野にわたり,水準の高い教育・研究を行うことを可能ならしめる組織である。本部を愛媛大学(農学部)に置き,生物資源の生産と利用に関する諸科学について高度の専門的能力と豊かな学識,広い視野をもった研究者を養成する。 2002年4月には,本研究科と高知県(海洋深層水研究所)との連携による連携大学院が設置され,社会的貢献度が一層高まっている。 本研究科は,外国人留学生も多数受け入れている。1990年には,発展途上国からの農林水産分野における人材養成の強い要望に応えるため,諸国の研究者を文部科学省奨学金支給制度により受け入れる「熱帯・亜熱帯農学留学生特別コース」を設置した。また,2002年10月から,愛媛大学大学院農学研究科,香川大学大学院農学研究科及び高知大学大学院総合人間自然科学研究科農学専攻修士課程(アジア・アフリカ・環太平洋農学留学生特別コース)から本研究科へ接続するアジア・アフリカ・環太平洋農学留学生特別コースも新たに設置した。外国人留学生は研究科修了後,科学・技術の進歩と母国の発展に寄与することが期待されており,現在,国際的な分野で研究が行われている。 なお,論文博士制度により,日本並びに諸外国の研究機関において農学及び関連分野の研究に従事する優れた研究者についても,課程修了者と同様,博士号取得の機会を与える。 愛媛大学大学院連合農学研究科は,それぞれに特色を持った四国の愛媛大学,香川大学の農学研究科及び高知大学総合人間自然科学研究科農林海洋科学専攻が連携して,21世紀を担う優れた人材を育成することを目的とし,人間,社会,自然への深い洞察に基づく総合的判断力と高度な専門分野の学識と技能が身につく教育を目指しています。 また,先見性と独創性のある研究を通して,世界に通用する多くの研究成果を産みだしながら,地域に役立つ人材,地域の発展を牽引する人材を養成すること,さらに,世界各地から優秀な留学生を積極的に受け入れ,当該諸国の将来を担う中核的な研究者を育てることによって社会の持続可能な発展,人類と自然環境の調和に資するとともに世界平和に貢献いたします。004The United Graduate School of Agricultural Sciences設置の趣旨・目的教育理念設置の趣旨・目的・教育理念

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