愛媛大学では、教員、事務職員、ティーチングアシスタントが、愛媛大学の理念と目標を共有し、一体となって能力開発に取り組むことにより、教育の質の向上を目指しています。
例えば、教員の能力開発であるFD(ファカルティ・ディベロップメント)については、教育学生支援機構教育企画室が、授業・教授法の改善、カリキュラム改善、組織整備・改革のための各種研修会やコンサルテーションなどを、学内各教員向けに実施しています。
これらの取組は、文部科学省のGP(Good Practice:優れた教育事例)として採択されたり、新聞や雑誌等で採りあげられたりするなど、対外的にも非常に注目されています。
教育コーディネーターとは、学部、学科などの教育責任者として、教育方針の立案、カリキュラム編成、教育内容及び教授法の改善、教育効果の検証などの活動において中核的な役割を担う教育重点型教員です。現在、大学全体で約60名が学長から任命されています。
各学部の統括教育コーディネーターは、全学的な教育課題を審議するための「教育・学生支援機構」の管理機関である教育学生支援会議の構成員となるなど、大学全体が有機的につながりながら教育改革を推進する組織体制がとられています。
このほか、教育・学生支援機構教育企画室は、教育コーディネーター間の意思疎通を図り、改革の方向性について共通認識を持つための、教育コーディネーター研修会を実施しています。各教育コーディネーターは、この研修会で得た知識や技術なども踏まえつつ、各学部・学科での活動を行っています。
毎年、研修会テーマには全学的かつ重要な教育課題となるものを採りあげています。
教育コーディネーター研修会テーマ
平成18年度(年間1回)開催 | 「カリキュラムの体系化と単位の実質化」 |
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平成19年度(年間5回)開催 | 「学士課程の体系化~ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー(DP、CP、AP)の策定と一貫性構築」 |
平成20年度(年間4回)開催 | 「カリキュラムの体系化と授業改善~ カリキュラム・マップ作成とティーチング・ポートフォリオ開発 ~」 |
平成21年度(年間4回)開催 | 「学士課程教育の体系化~カリキュラム・アセスメントと単位制度の実質化~」 |
平成22年度(年間5回)開催 | 「PDCAサイクルと単位制度の実質化」 |
平成23年度(年間5回)開催 | 「共通教育におけるジェネリックスキル(汎用的能力)育成~新たな“教養”概念の構築に向けて~」 |
平成24年度(年間5回)開催 | 「大学院課程における汎用的能力育成」 |
平成25年度(年間5回)開催 | 「学部専門教育における汎用的能力育成」 |
平成26年度(年間5回)開催 | 「ミクロ・レベルのFD:“学生の学び”の質保証のための方略を考える」 |
平成27年度(年間4回)開催 | 「愛媛大学における今後の入学者選抜のあり方を考える~“学力の3要素”を踏まえたアドミッション・ポリシーの実質化~」 |
平成28年度(年間4回)開催 | 「愛媛大学における入試改革-高大接続を中心に」 |
平成29年度(年間4回-予定)開催 | 「愛媛大学における入試改革-『新入試』実施に向けた基本的方向性とアドミッション・ポリシーの具体化-」 |
愛媛大学教育改革促進事業(愛大教育改革GP)とは、国内外に向けた視野の広い優れた教育改革の取組を取り上げ、教育経費の重点配分を行うものです。
公募の対象には、「学士課程及び大学院課程における組織基盤的な教育改革の取組」、「中期計画で掲げられている目標の達成や教育政策への対応のための組織的な取組」、「1人又は比較的少人数の教員グループによる授業等開発・改善に関する取組」および「1人又は比較的少人数の教員グループによる留学生受入れや留学先の新規開拓に関する取組」の4種類があります。
募集後、学長の下に設置された教育改革促進事業審査委員会において審査を行い、採択課題を決定しています。採択課題の実施責任者は、毎年度成果報告書を提出するとともに、公開型の教育改革シンポジウムにて進捗状況および成果の公表を行っています。
- 藍染めを行う様子「伝統の継承プログラムを通したグローカルマインドの育成」(教育学部)
- 実習の様子「学生にがん医療職リーダーとしての専門意識を植え付ける準正課教育」(医学部)
愛媛大学教育改革促進事業採択状況
平成13年に大学教育総合センター(現、教育・学生支援機構)が設置され、共通教育における全学出動体制の確立から10年が経ちました。これを機に、本学の教育改革の歴史を整理し、改革内容や組織改編等を体系的な資料としてまとめました。
本冊子は本学における教育改革の歩みをまとめた資料ですが、 同時に、教育改革の一事例として他大学の参考となるものでもありますので、 ご一読いただければ幸いです。