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プレスリリース

シビアな浅い水域で有孔虫は決まった共生藻しか持てない
共生褐虫藻の深度変化を解明

愛媛大学先端研究院沿岸環境科学研究センターの濱本耕平助教は、東京大学大気海洋研究所の前田歩特任助教らとの共同研究において、サンゴ礁に生息する大型底生有孔虫が持つ共生褐虫藻の多様性が生息深度によって変化することを明らかにしました。
本研究では、礁原と礁斜面に生息する大型底生有孔虫内の褐虫藻遺伝子を、有孔虫個体レベルで網羅的に解析しました。その結果、深度9mより深い礁斜面の個体が持つ多様な褐虫藻に比べ、深度2m程度の礁原の個体の褐虫藻は決まった組み合わせに収束することを発見しました。従来、光量等の変動が大きい浅場に順応するため、浅場の個体は多様な共生褐虫藻を持つとされてきましたが、実際には浅場の個体の褐虫藻組成はほぼ一様でした。本研究の成果は、環境の差異により大型底生有孔虫の共生藻の多様性が異なることを示しており、将来の温暖化に対し共生藻を持つ生物がどのように順応するのか考えるうえで役立つ可能性があります。

研究に使用した大型底生有孔虫 Amphisorus kudakajimensis

発表のポイント

・サンゴ礁に生息する大型底生有孔虫が持つ共生褐虫藻の組み合わせが生息深度で変化することを発見
・深度2m程度の礁原の個体は決まった褐虫藻の組み合わせを持ち、深度9mより深い礁斜面の個体が持つ多様な褐虫藻と対照的だった
・光量や水温の変動幅などの環境の差異が、大型底生有孔虫の共生藻の多様性に影響する可能性を示唆し、今後有孔虫を用いたサンゴ礁の環境モニタリングで環境DNA解析を実施する際に参照できるかもしれない

論文情報

雑誌名:Coral Reefs
題名:Dinoflagellate diversity of large benthic foraminifera in harsh shallow-water environments
著者名:Ayumi Maeda*, Kohei Hamamoto, Miyuki Nishijima, Akira Iguchi, and Atsushi Suzuki
DOI: 10.1007/s00338-025-02671-4
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00338-025-02671-4

本件に関する問い合わせ先

愛媛大学先端研究院沿岸環境科学研究センター
濱本 耕平