プレスリリース

気象コモンズ―新しい気象とのつきあい方
気象制御の民主的・ボトムアップ的アプローチの提案

愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科の羽鳥 剛史教授、Christoph Rupprecht准教授、Chris Berthelsen特定准教授、タスマニア大学のManon Simon講師らの研究グループの研究成果が11月25日付で「npj Climate Action」誌に掲載されました。

気候変動やそれに伴う異常気象が深刻化する中、気象改変への関心が世界中で高まりつつあります。日本でも、政府によるムーンショット型研究開発の目標8の下、極端風水害の軽減に向けて気象制御の研究開発プログラムを開始しました。気象制御技術は、激甚化しつつある豪雨や台風による被害の軽減に寄与し得る一方で、人類がこれまで築き上げてきた人間と気象との関係性を根底から変える可能性を孕んでいます。

今回掲載された記事は、気象制御のトップダウン的・技術主義的なアプローチとは一線を画し、地域コミュニティを中心とした民主的・ボトムアップ的なアプローチとして、「気象コモンズ」という新しい考え方を提起するものです。この記事において、気象コモンズの枠組みをベースとして、気象制御をめぐる幅広い市民的対話を進めていくことを呼びかけています。

気象コモンズのコンセプトのビジュアル化

研究成果のポイント

  • 気象制御は、豪雨や台風による被害の軽減に寄与し得る一方で、人間と気象との関係性を根底から変える可能性をもつ
  • 地域コミュニティを中心とした民主的・ボトムアップ的なアプローチとして、「気象コモンズ」という新しい考え方を提起した
  • 気象コモンズの枠組みをベースとして、気象制御をめぐる幅広い市民的対話を進めていく必要がある

論文情報

掲載誌:npj Climate Action
題名:Commoning the weather: weather commons for a post-1.5℃ world
(和訳)気象のコモンズ化――ポスト1.5℃の世界における気象コモンズ
著者:Tsuyoshi Hatori, Christoph Rupprecht, Chris Berthelsen, Manon Simon, Rei Itsukushima, Takuya Iwahori, Kazuki Kagohashi, Kunihiko Kobayashi, Tomohiko Ohno, Masamitsu Onishi,Tomoki Takada, Norie Tamura, Kosei Yamaguchi and Aoi Yoshida
DOI:10.1038/s44168-025-00302-w

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愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科
教授 羽鳥剛史