令和7年11月6日(木)、11月7日(金)に三重大学・三翠ホールで開催された「第70回リグニン討論会(リグニン学会第7回年次大会)」において、大学院農学研究科の髙田昌嗣准教授が「第5回(2025年度)リグニン学会奨励賞」を受賞しました。
本賞は、リグニン科学とその関連分野に関して独創的で優秀な研究を行いつつあり、さらに今後の研究の発展が期待される若手会員(45歳未満)に授与されるものです。
受賞対象となった「熱化学処理による脱リグニン機構のトポ化学的研究」では、リグノセルロースの主要細胞壁構成成分であるリグニンの熱化学変換挙動を、組織形態学と化学を融合した「トポ化学」的視点から解明しました。スギやブナ、単子葉類など多様なバイオマスに対し、超・亜臨界溶媒処理を用いて、細胞組織部位ごとの脱リグニン挙動や耐性の違いを明らかにしました。特に、二次壁での優先的な分解や細胞間層での残存、溶媒種による反応性の差異、炭化物生成への細胞成分の寄与などを詳細に解析しました。さらに、酵素糖化におけるリグニンの阻害効果を軽減する構造改変の指針も提示し、バイオリファイナリーへの応用可能性を示しました。これらの成果は、リグニンの構造と分布に基づく資源変換の理解を深め、未利用バイオマスの高効率利用に貢献するものです。

<大学院農学研究科>
