お知らせ

新任部局長挨拶 〜 理学部長 宇野 英満  〜

 平成25年4月1日から、理学部長に就任した宇野 英満 教授から、就任のご挨拶をいただきました。

 block_50567_01_m今年度より理学部長を拝命しました宇野英満です。昨年度は理学部統括教育コーディネーターとして理学部の教育に関与してきましたが、より一層の重責、身が引き締まる思いです。よろしくお願いいたします。

 私の専門は有機化学です。有機化学は化学物質を創出する学問です。現在、コンビニコスメの主成分として知られているコエンザイムQ10は、細胞がエネルギーを生産するためには無くてはならない物質です。これを効率よく化学合成する事が私の研究のスタートでした。抗がん剤や神経栄養因子活性物質の合成研究を経て、ひょんなことから今は有機半導体材料の開発研究をしています。現在、再生可能エネルギー生産の手段としての有機太陽電池や大型大画面で、湾曲させても表示可能なモニタとしての有機ELディスプレイ等の大面積有機半導体デバイスに大きな注目が集まっています。大変華々しい研究をしていると思われがちですが、私が研究しているのは末端製品デバイス性能の評価ではなく、これらの心臓部を形成する有機半導体物質を新たに作り出すことです。このため非常に地味で忍耐のいる研究を行っています。
 現在の日本の半導体産業は、電機・通信産業をはじめ非常に多くの産業を支えているのにもかかわらず、自身は苦境に立たされているのに似ているかもしれません。理学部の研究は、縁の下の力持ちのような性格を持っていると思います。
 教育面では、愛媛大学理学部は「科学が好きだ。理科が好きだ。数学が好きだ。」という漠然とした純粋な気持ちを持って入学して来た学生のみんなが、教員や仲間と絆を深めながら、自分の進路を固めて行けるような仕組みを用意しています。初年次教育プログラムの新入生セミナーの中に、合宿研修を組み入れて徹底的にグループワークを行います。これにより仲間を作り、ピア・エデュケイションの重要性を体験します。また、学年を超えた絆作りを促す試みも始めています。こうして力を付けた学生は、理学部所属の教員の行う研究はもちろんのこと、愛媛大学の誇る最先端科学研究センターの協力を得て、センター所属の教員の下でも卒業研究を行うことができます。貪欲に未来を求める学生には、その欲求に応えられるだけの道を用意しています。
 一方で、大学での教育に違和感を持ったり、自分の進むべき道を見つけられないまま時を過ごしたりしてしまう学生が多くなってきたのも事実です。幅広い学生の欲求に応えられるように、さらに教育と運営に力を注いでいきますので、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。