米国化学会(ACS)が発行する環境科学・技術分野の学術誌「Environmental Science & Technology (ES&T)」は、創刊60周年記念の特別コレクションにおいて、愛媛大学先端研究院(PIAS)沿岸環境科学研究センター(CMES)の岩田久人教授らの研究グループが発表した研究論文を、同分野の発展に貢献した「歴史的マイルストーン論文32本」の一つとして選出しました。
同誌は2026年の創刊60周年にあたり、過去60年間における環境科学の歴史的な歩みを振り返るテーマ別の論文コレクションを月替わりで公開しています。2026年7月は「新興汚染物質(Contaminants of Emerging Concern: CECs)」がテーマに選ばれ、1981年から2023年までに同誌へ掲載された膨大な論文の中から、同分野の研究を大きく前進させた先駆的な論文が厳選されました。 選出された論文は、岩田久人教授、田辺信介愛媛大学特別栄誉教授(故人)、立川涼愛媛大学名誉教授(故人)らによる研究で、1993年に発表されました。研究グループは、DDTやHCHなどの残留性有機汚染物質(POPs)を対象とし、海洋大気および表層海水中における濃度分布を測定。極地を含む地球規模での汚染物質の動態メカニズムにおいて、海洋が果たす役割の一端を明らかにしました。
この研究成果は、環境中に放出された有害化学物質が地球全体にどのように拡散・蓄積していくかという予測モデルの基礎を築き、その後のPOPsの国際的なリスク評価や条約制定の際の科学的根拠として活用されました。
CMESは、長年にわたり環境化学および環境毒性学の国際的な研究拠点として活動を続けており、今回の選出は同センターのこれまでの研究実績が国際的に評価されたことを示しています。
論文情報
掲載誌 :Environmental Science & Technology. 1993; 27(6): 1080–1098
題名 :Distribution of persistent organochlorines in the oceanic air and surface seawater and the role of ocean on their global transport and fate
著者: Iwata H, Tanabe S, Sakai N, Tatsukawa R
DOI :10.1021/es00043a007
https://doi.org/10.1021/es00043a007
参考Webサイト
<沿岸環境科学研究センター>
