愛媛大学が主導する共同研究チーム(東京大学、琉球大学)が、妊娠中の野菜、果物(特にりんごと柑橘類)、ビタミンC摂取が生まれた子の行動的問題に予防的であることを示す研究成果を初めて発表し、令和元年 8 月 24 日に学術誌「Nutrition」の電子版に公表されました。
妊娠中の母親が抗酸化物質を摂取することで、母子に対する過度な酸化ストレスやそれに起因する健康問題を防ぐことができるかもしれません。これまで妊娠中の野菜、果物、抗酸化物質摂取と生まれた子の行動的問題との関連を調べた疫学研究はありません。
今回、妊娠中から母親と生まれた子を追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用し、妊娠中の野菜、果物、抗酸化物質摂取と子の5歳時における行動的問題との関連を調べました。その結果、妊娠中の総野菜摂取と緑黄色野菜摂取は低い向社会的行動のリスク低下と関連し、緑黄色野菜以外の野菜摂取は多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と関連し、果物、特にりんごの摂取は多動問題のリスク低下と関連し、柑橘類摂取は情緒問題、行為問題及び多動問題のリスク低下と関連し、ビタミンC摂取は行為問題、多動問題及び低い向社会的行動のリスク低下と関連していました。
今後、更なる研究データの蓄積が必要となりますが、妊娠中の食習慣の変容により、子供の行動的問題を予防できる可能性を示す非常に関心の高い研究成果であるといえます。
掲載誌
Nutrition
題名
Maternal consumption of vegetables, fruit, and antioxidants during pregnancy and risk of childhood behavioral problems
妊娠中野菜、果物、抗酸化物質摂取と生まれた子の行動的問題リスクとの関連
著者
愛媛大学:三宅 吉博、田中 景子、大久保 公美
東京大学:佐々木 敏
琉球大学:荒川 雅志