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プレスリリース

高濃度トレハロースを用いた新規培養技術により創傷治癒を促す3次元培養“真皮シート“を開発

難治性皮膚潰瘍に有効な世界初の再生医療製品として期待

愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学講座の武藤潤講師、藤澤康弘教授、佐山浩二名誉教授、愛知学院大学歯学部生化学講座の福田信治講師および山口大学大学研究推進機構・遺伝子実験施設の水上洋一教授らの研究グループは、線維芽細胞を高濃度トレハロースで処理することにより、 これまで報告されたことがない“創傷治癒促進作用を有するセネッセンス様状態(Senescence-like State; SLS)”へ一時的に誘導できることを発見しました。

現在、糖尿病や静脈瘤などの末梢血流障害により生じる深達性皮膚潰瘍の治癒に重要なステップである、欠損した真皮の迅速な再生を促進できる有効な治療法は存在しません。研究グループでは今回の発見を利用して、ヒト由来の線維芽細胞とコラーゲンを用いて作製する“真皮シート”に高濃度トレハロースを含有させる新たな方法で、高い創傷治癒効果が期待できる革新的な再生医療用製品を開発しました。

本研究は、創傷治癒に有利に作用するSLSという革新的な現象が線維芽細胞で起きることを世界で初めて発見し、これが高濃度トレハロース処理で誘導できることを明らかにした重要な研究成果です。本研究によって、難治性潰瘍治療の発展に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2023年1月6日Communications Biology誌(電子版)に掲載されました。

論文情報

掲載誌:Communications Biology
DOI:10.1038/s42003-022-04408-3
題名:Highly concentrated trehalose induces prohealing senescence-like state in fibroblasts via CDKN1A/p21
和訳:高濃度トレハロースは線維芽細胞の創傷治癒促進作用を有する”Senescence-like state”にCDKN1A/p21を介して誘導する
著者:
武藤 潤(愛媛大学)、福田 信治(愛知学院大学)、渡邊 健司(山口大学)、代 秀菊(愛媛大学)、津田 照子(愛媛大学)、清井 武志(金沢医科大学)、亀田 健治(愛媛大学)、川上 良介(愛媛大学)、森 秀樹(愛媛大学)、白石 研(愛媛大学)、村上 正基(愛媛大学)、今村 健志(愛媛大学)、東山 繁樹(愛媛大学)、藤澤 康弘(愛媛大学)、水上 洋一(山口大学)、佐山 浩二(愛媛大学)

本件に関する問い合わせ先

愛媛大学医学部附属病院皮膚科
武藤 潤