愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学講座の八束和樹助教と村上正基特任教授、分子病態医学講座の川上良介准教授、今村健志教授および高知大学複合領域科学部門の仁子陽輔准教授らの研究グループは、生きたマウスの指において、発汗現象をリアルタイム・三次元観察することに成功し、その研究成果を世界で初めて発表し、令和6年1月3日に学術誌「Scientific Reports」に公表されました。
本研究グループは、全身麻酔下の生きたマウスに新たに開発した蛍光色素カクテルを経静脈的に投与し、二光子励起顕微鏡を用いて指の皮膚における発汗動態を三次元的に可視化することに成功しました。汗が関連する皮膚疾患には様々な疾患がありますが、本研究では表皮内で汗が漏出することで発症すると推測されている掌蹠膿疱症に着目し、本手法およびレーザーアブレーションを用いてマウスの表皮内汗管を局所的に破壊し、表皮内で汗の漏出を再現することに世界で初めて成功しました。この汗の漏出により表皮内水疱が出現することを確認し、掌蹠膿疱症の発症機序をさらに支持する結果を得ました。
今後は、本研究手法を用いて様々な汗関連疾患の病態解明および創薬に結びつく研究が進展することが期待されます。
論文情報
掲載誌 : Scientific Reports
DOI : 10.1038/s41598-023-50875-x
題名 : A fluorescence imaging technique suggests that sweat leakage in the epidermis contributes to the pathomechanism of palmoplantar pustulosis
著者 : Kazuki Yatsuzuka, Ryosuke Kawakami, Yosuke Niko, Teruko Tsuda, Kenji Kameda, Nobushige Kohri, Satoshi Yoshida, Ken Shiraishi, Jun Muto, Hideki Mori, Yasuhiro Fujisawa, Takeshi Imamura, Masamoto Murakami