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HISTORY 〜教育学部特別支援教育講座(特別支援医学) 長尾 秀夫 教授〜

 平成26年3月末退職の教育学部特別支援教育講座(特別支援医学) 長尾 秀夫 教授 から大学での思い出を寄せていただきました。

「温かい伊予で生まれて、楽しく伊予で生活しました。みなさんに感謝しています。伊予をこれからも楽しみます。」

 block_57398_01_M私は昭和23年に愛媛県で生まれ、昭和49年3月に大学を卒業、同年4月に愛媛大学医学部助手に採用されました。昭和57年に講師となり、医学部で診療・研究をしながら、教育学部の非常勤講師を数年担当しました。そのご縁で声をかけていただき、昭和63年8月に愛媛大学教育学部助教授に採用していただきました。そして、大学院(教育学研究科)設置を機に、平成4年4月に教授となりました。私は、平成26年3月に愛媛大学を定年で退職します。愛媛大学で40年、教育学部で25年お世話になりました。私事になりますが、この機会に愛媛大学での生活を振り返ってみます。
医学の教育・研究においては、医学部附属病院の小児科診療の立ち上げに参加しました。そして、一般小児科診療に加え、小児神経学の専門外来を担当しました。診療・臨床研究の研鑽の場として、大学病院でのカンファレンスに加え、昭和57年に四国小児神経症例検討会、昭和58年に愛媛県小児神経研究会を立ち上げ、その後、毎年1年に1〜2回の会を開催しています。
 教育学の教育・研究においては、臨床経験を基に、学校教員を目指す学生に必要な知識を伝え、大学院・研究生の現職教員には、小児科医が学校教育に期待することを伝えてきました。たとえば、筋ジストロフィー、てんかん、 プラダー・ウィ−リー症候群、極低出生体重、注意欠陥/多動性障害、読字障害などがある児童の教育的支援や、児童デイサービスの福祉的支援、幼児の小児保健学的支援等について講義しました。学部学生や大学院生に対する大学教育の教育改革の取組等も行ないました。実践的な研究に基づく教育実践への提案は少なく、実践経験から支援のあり方を紡ぎ出す具体例を示しました。
 また、平成18・19年度文部科学省の教員養成GP「1年制大学院が地域の特別支援教育を変える−教育現場・教育委員会と連携した特別支援教育コーディネーター養成プログラムの構築−」では、教育プロジェクト実施責任者を担当し、特別支援教育講座や教育学部の全面的協力で多くの成果を上げ、全国に発信しました。この特別支援教育コーディネーター養成方法は、今日では教員の実践力を育てるモデルとなっています。
 最新の研究としては、多職種による極低出生体重児の超早期発達支援があります。愛媛大学発達研究会メンバーがそれぞれの専門領域で、極低出生体重児を10〜20年にわたって治療・リハビリ・療育・教育をしました。この成果報告書は、子育て支援に有用な具体的支援モデルを盛り込んだ日本で初めてのものです。
また、私は愛媛大学教育学部の統括教育コーディネーター、統括研究コーディネーターも担当し、教育学部の教育と研究の改革にも関わりました。
社会活動では、愛媛県地域療育推進協議会の会長として、多職種の英知を集めて子ども療育センター構想を作りました。そして、これを土台に平成19年に愛媛県立子ども療育センターが新設され、同年に愛媛県発達障害者支援センターも併設され、愛媛県の療育の拠点が出来ました。
 愛媛大学の自由な雰囲気のなかで、多くの学生・大学院生、教職員、また関係機関の皆様のご協力を得て、自分がやりたい教育・研究をすることができました。この場を提供していただきました、愛媛大学関係者の皆様にお礼申し上げます。そして、愛媛大学の今後を担う皆様のご活躍とご発展を祈願しています。