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平成25年度連合農学研究科学位記授与式を挙行しました【3月17日(月)】

平成26年3月17日(月)、農学部大会議室で、本学、香川大学及び高知大学の関係者の出席の下、平成25年度愛媛大学大学院連合農学研究科学位記授与式を挙行しました。

 今回は、留学生9人(インド5人、マリ1人、ベトナム1人、タイ1人、韓国1人)を含めた計20人に博士の学位が授与されました。
 学位記授与、修了記念メダル授与に続いて、高知大学の脇口宏学長が、「皆さんには、輝かしい未来が開けていますが、人生は山あり谷ありと申します。もし、壁に突き当たった時には、研究の過程で身につけた能力が、皆さんの人生を切り拓くための、強力な武器になるはずであります。今こそ、皆さんのような有為の若者は、産業革命がもたらした負の遺産を解消する努力を、グローバルなレベルで、始める時であります。自然豊かな四国の地における皆さんの経験、連合農学研究科において修得された、高度な専門的知識と科学・技術、そして倫理観を存分に活用して、母国の発展に貢献してくださるとともに、地球が抱える深刻な問題の解決に尽力してくださることを期待しています。」と、式辞を述べました。
 また、授与式終了後、連合農学研究科棟玄関前で記念撮影を行いました。
 その後、農学部会館生協食堂に場所を移動し、連合農学研究科留学生のディア・ユメイナさんの司会で、祝賀パーティーを催しました。パーティーでは、学位記授与者全員の紹介と挨拶があり、それぞれ指導教員への謝辞、研究生活の思い出、そして今後の抱負などについてスピーチがありました。<連合農学研究科>

学位授与式 学長告辞

高知大学長の脇口でございます。連合農学研究科を代表して、お祝いを申し上げます。
 本日、学位を授与されました20名の皆さん、おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。また、これまで熱心に指導に当たってこられました指導教官の方々、ご家族、関係者の皆様にも、お祝いと感謝の意を表したいと思います。
 研究は、「道なき道を分け入って進む宝探し」のようにわくわくする反面、「懐中電灯一つを頼りに、知らない町の星一つない暗い夜道を行く」不安と心細さの入り交じった作業の繰り返しであります。仮説すなわち目的地を設定したものの、中々先が見えず、失敗を繰り返し、道に迷ったこともあるでしょう。また、実験の方法を一から構築し直した皆さんもいたことでありましょう。しかし、良質で豊富な知識と最新の技術、そして、その知識と経験を、統合することで醸成される直感によって、それらの困難は、氷が溶けるように解決され、目的地に繋がる道が、浮かび上がるように見えてきたはずであります。そのような、学びと研究、そして思索・振り返りを繰り返し、繰り返し継続することによって、大きな困難を乗り越えられた皆さんに対して、心から敬意を表すものであります。中でも、外国から来られた留学生の皆さんは、生活習慣、食事、文化、気候などの違いに、大きなとまどいを感じられ、挫折しそうになったことも、一度ならずあったのではないでしょうか。それだけに、皆さんの喜びは一層大きいものであると推察いたします。
 さて、皆さんが、今手にされた学位記は、これからは、皆さんが自分自身の才能と独創的な発想によって、自由に、そして独立して、研究を遂行できることの証明であります。研究は、大学や研究所などの、研究機関だけで行うものではありません。ましてや、最新の技術だけを頼りにするべきものでもありません。一般社会の日常生活の中でも、研究者の目で観察、分析、評価することによって、多くの研究テーマを発見し、イノベーションを創出することが、可能であります。むしろ、日常の生活の中にこそ、実社会が強く求めている研究テーマ、すなわちイノベーションのシーズが、隠されているものであります。研究の経験がない方には、見えないものが、この場にいる皆さんには、見えるはずです。それは、皆さんが、豊富な知識と高度の技術を修得し、研究を完成させた者だけが体得出来る、俯瞰力や洞察力を手にされたからであります。皆さんの卓越した能力を、社会の発展と人類の幸福を実現するために生かすことが、学位を授与された皆さんの重要な責務でもあります。
 現在、科学の発展は、神の領域に足を踏み入れております。研究の成果は、利用方法を誤れば、人間を否定し、人類を破滅に向かわせる危険性を、孕んでおります。しかし、皆さんは、この連合農学研究科で学ばれたことで、研究成果を人類の福音とする思想を身につけられたと信じております。食糧問題、温暖化、異常気象、環境汚染などの進行には、科学の発展が関与している部分が少なくありません。森林伐採などによる人類と野生との過剰接近は、新たな病原体の出現を誘発し、温暖化による永久凍土や氷河の溶解は、人類の歴史から隔離されてきた微生物が、活動を再開して、新たな病原体となること、あるいは急激な増殖や発酵による二酸化炭素の産生増加などを来たし、温暖化に歯止めがきかなくなるような事態を招くことも危惧されております。国際社会は、これら多くの問題を、認識しているにも拘わらず、解決する実効的な協力関係を構築できないでいます。私は、生物資源の生産と利用、生物資源の保全について、最高の教育を受けた皆さんこそが、科学的、倫理的、人道的視点をもって、母なる地球を守る旗頭になることが、出来ると信じております。
 皆さんには、輝かしい未来が開けておりますが、人生は山あり谷ありと申します。もし、壁に突き当たった時には、研究の過程で身につけた能力が、皆さんの人生を切り拓くための、強力な武器になるはずであります。今こそ、皆さんのような有為の若者は、産業革命がもたらした負の遺産を解消する努力を、グ
ローバルなレベルで、始める時であります。自然豊かな四国の地における皆さんの経験、連合農学研究科において修得された、高度な専門的知識と科学・技術、そして倫理観を存分に活用して、母国の発展に貢献してくださるとともに、地球が抱える深刻な問題の解決に尽力して下さることを期待して、学長告辞といたします。
                                平成26年3月17日 高知大学 学長 脇口 宏