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平成28年度愛媛大学図書館学術講演会を開催しました【9月29日(木)】

 平成28年9月29日(木)、南加記念ホールで、図書館学術講演会を開催し、学内外から約250人の参加がありました。
  講師に、東京大学名誉教授の池上嘉彦氏をお招きし、「俳句とHaiku~英語になった俳句から英語、そして日本語を考える~」をテーマにご講演いただきました。
 俳句は世界で一番短い文学形式であり、それ故にその形式が好まれて、今では海外でもそれぞれの言語で俳句が作られるなど、まさにグローバルなものとなっています。池上氏は、日本の認知言語学の第一人者としての知見に基づいて、日本語の俳句と英語に訳された俳句のそれぞれの表現特性を、松尾芭蕉の有名な俳句「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」や「古池や かはづ飛びこむ 水の音」などをとりあげて分かりやすく説明しました。参加者は、英語になった俳句とどのようにつきあい、どのように楽しむかのヒントをもらいました。

 

 池上氏は、日本語の俳句と英語に訳された俳句を対比することで、それぞれの表現主体である思考様式に違いがあることを説明しました。さらに、日本語の特性として、言葉で全てを言い表すよりは、むしろ相手にその言外の意味を悟らせようとするように、暗示度が高いということを紹介しました。そして、こうした特性は英語に訳されることでより顕著に現れることを指摘し、「日本語をはじめ日本文化全般の輪郭の定かでない記号化への指向性にその因がある」と述べました。  
 また、「仮に同じ意味を表す言葉があったとしても、日本人と外国人が同じものを想像するとは限らないため、単に単語を入れ替えただけでは元の俳句の意味は伝わらない。言語間の違いというのは、その文化的な違いによってもたらされている」と述べました。
  講演を通し、日本語を他の言語に置き換えてみることで、普段何気なく使っている「言葉」を意識することができました。また、英語になった俳句を通して、言語の違いや文化の違いを感じ、改めて日本語と英語について考える良い機会となりました。
  講演後、子規記念博物館の竹田美喜館長が挨拶し、国語学を学んでいた学生時代に一番知りたかった意味論を、40年の歳月を経て池上氏から直接聴けたことの感激と、聴講していた附属高校生に対し、「自分が学生時代に聴きたくても聴けなかった池上先生の講演を、皆さんの年齢で聴くことができるのは大変な宝です」と話しました。

 

講演資料(PDF 619KB)

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