平成26年9月5日(金)、医学部臨床第二講義室で、第31回愛媛大学医学部附属病院腫瘍センター講演会を開催しました。
今回の講演会では、本院薬剤部の河添仁主任による「B型肝炎対策ガイドライン遵守率向上への取組みと評価」についての教育講演のほか、埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科の持田智教授を講師にお迎えし、「B型肝炎〜免疫抑制療法・化学療法による再活性化と重症化」と題した特別講演を行いました。持田教授は、厚生労働省の研究班「がん化学療法及び免疫抑制療法中のB型肝炎ウイルス再活性化予防対策法の確立を目指したウイルス要因と宿主要因の包括的研究」の代表を務め、全国で起こった化学療法後のB型肝炎の集計とその対策にご尽力されている肝臓専門医です。
河添主任からは、日本肝臓学会が作成したB型肝炎対策ガイドラインに沿った医療を提供するため、本院におけるガイドライン遵守率を向上させるための取組事例の紹介やその評価方法、結果などの話がありました。
引き続き行われた特別講演では、持田教授が自施設で経験されたB型肝炎の再活性化死亡例を提示しながら、化学療法施行時に注目すべきHB抗体やその力価の解釈について分かり易く解説されました。特に、化学療法施行時のHBV-DNAが一定量以上(2.1 log copy/ml)の症例は治療が必要となる点や、HBV治癒例と判断される患者でも、化学療法施行時に慎重な経過観察が必要となる症例など、これまでの経験を踏まえた貴重なお話がありました。
本講演会は、このような具体的な症例提示と現在の知見を通じ、HBV抗体陽性者の化学療法を考える貴重な機会となりました。
用語解説
※1)HBV B型肝炎や肝硬変などを引き起こすと考えられているウイルス
<医学部>