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教育学部で《科学イノベーション挑戦講座》「化学反応の制御に挑戦する」を開催しました【8月23日(金)】

 平成25年8月23日(金)、教育学部2号館2階理科学生共同実験室2で《科学イノベーション挑戦講座》第3回講座「化学反応の制御に挑戦する」を開催しました。

 本事業は、科学技術振興機構次世代科学者育成プログラムメニューB採択事業であり、中学生を対象とした、次世代を担う科学者を養成するものです。
 

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発酵イクラを作成中

今回は、教育学部理科教育専修の大橋淳史准教授が、化学反応の制御に関する講義を行いました。  
 第1回講座で、中学生は高校生と一緒に、菓子などの食品に緑色を付ける着色料の青色2号の成分であるインジゴカルミンを使用し、「インジゴカルミンの酸化還元反応」通称「信号反応」を、どうすれば自分の思うように制御できるのかについて実験と検討を行い、今回は、中学生だけでパン酵母を使った発酵反応の制御に挑戦しました。
 前回学んだ化学反応の速度を決める条件と濃度、温度は、発酵反応でも重要な条件なのか、また新たに出てきた酵母とは何なのかについて考え、発酵反応の速度を上げるための条件について決定しました。
 また、酵母はそのまま投入するのではなく、アルギン酸に閉じ込めて「発酵イクラ」を作りました。これは、微生物、動植物細胞、酵素などによる反応を利用して、物質の生産・分解・変換などを行う工業的な生産システム「バイオリアクター」に利用される方法を模倣したものです。
 次に、自分たちで濃度や反応温度を決めた砂糖水に発酵イクラを入れ、発生する二酸化炭素の量と反応の速度を測りました。また、反応前後の糖度を測定することで、原料の減少量からも反応速度を計算することができることを確かめました。

 化学反応では、物質が安定になりたい力(エンタルピー)と物質がバラバラになりたい力(エントロピー)との総和が、より「得する」方向に進みます。この総和を「ギブスエネルギー」と呼びます。これが分かると「化学反応についての謎」はすべて解決するとのことでした。
 実験後は、発酵反応を通して「なぜ化学反応は進むのか」、化学反応では「原料と生成物は→で結ばれるが、なぜ矢印なのか、なぜ右向きに進むのか」について考えました。そして、発酵反応におけるブドウ糖の安定になりたい力とバラバラになりたい力をそれぞれ計算し、総和(ギブスエネルギー)を求めることで、ある温度で反応がどのように進むのか学習しました。中学生は、計算によって「なぜ原料と生成物が→で結ばれているのか」、「なぜ矢印は右向きなのか」の謎を解明することができました。

 科学イノベーション挑戦講座は、前期は今回をもって終了しますが、後期は10月19日(土)から開始します。

<教育学部>