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理工学研究科石川史太郎准教授らの白色発光ワイヤに関する論文がAdvanced Optical Materials誌のFrontispieceとしてハイライトされました

 理工学研究科電子情報工学専攻 石川史太郎准教授とドイツ・ポールドルーデ研究所との共同研究で、半導体マイクロワイヤ群の室温白色発光を見出しました。広範囲に広がるワイヤ全体から室温での発光が観測され、Si基板上での有望な白色光源として、Advanced Optical Materials誌のFrontispiece:扉絵として採用されハイライトされました。

掲載されたAdvanced Optical Materials誌扉絵

掲載されたAdvanced Optical Materials誌扉絵。表面を覆うSi基板上ワイヤ群から広く可視広域全体を網羅する白色光が出てきている。

 半導体ナノワイヤは、数100nm以下の直径を有するナノスケールの針状結晶であり、細線型トランジスタやレーザー、センサといった、既存の枠組みを超える新構造・機能デバイス基礎構成材料として期待され、特に2,000年以降活発に研究・応用が試みられています。その中で、化合物半導体GaAsは従来高速トランジスタや光通信用高性能半導体レーザーやその光検出などに用いられる高機能材料ですが、同研究グループは、ナノスケールで酸化物などの他材料と融合することでさらに新しい有用な機能を付加できないか検討し、今回はその作製手法の確立と、光学的特性の把握を行いました。

 化合物半導体デバイス作製時に利用される水蒸気酸化プロセスは、 化合物半導体と酸化物という大きく特性の異なる材料を、詳細に構造制御して融合させることを可能にします。構成層間の大きな屈折率差による光閉じ込めや、酸化物の絶縁性を利用した電流狭窄を可能にし、 特に光デバイスの高機能化に有効な技術として用いられますが、同研究グループはこれまでに、それをGaAs/AlGaAsナノワイヤに応用することで、AlGaAs化合物半導体ナノワイヤを酸化物AlGaOxへ変換可能であることを見出していました。さらに2014年には、同ナノワイヤからは可視光全域にまたがる白色領域発光を示すことを単体のワイヤにおいて発見・報告していました。

 今回同グループは、上述の酸化物ワイヤ群の発光性AlGaOx の直径を拡大しマイクロワイヤとして大きな容量を持たせること、さらにそれをSi基板全域で合成することで、大出力白色光源として有望なワイヤ群の形成に成功しました。今回の研究成果により、将来のSi LSIに搭載可能な白色発光素子や、新しい概念のナノスケール材料による照明の実現が期待されます。

論文情報

 この研究成果は2016年9月26日付のAdvanced Optical Materials誌電子版にて公開されています。

(Al,Ga)Ox Microwire Ensembles on Si Exhibiting Luminescence over the Entire Visible Wavelength Range, Fumitaro Ishikawa, Pierre Corfdir, Uwe Jahn, Oliver Brandt,
Advanced Optical Materials, 4, 2017, 2016 doi:10.1002/adom.201600695.

 今回注目論文として、2016年12月19日発行のFrontispiece: 扉絵としても同雑誌中でハイライトされました。

White Light Emitters: (Al,Ga)Ox Microwire Ensembles on Si Exhibiting Luminescence over the Entire Visible Wavelength Range,Fumitaro Ishikawa, Pierre Corfdir, Uwe Jahn, Oliver Brandt,
Advanced Optical Materials, 4, 2016, 2016. doi:10.1002/adom.201670068

参考ホームページ

論文

Frontispiece:扉絵

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