!

重要なお知らせ

お知らせ

「輝く個性で地域を動かし、世界とつながる大学へ」【8月3日(木)】

※掲載内容は懇談会当時のものです。

 愛媛大学経営協議会委員である南海放送株式会社の河田正道取締役会長と株式会社愛媛新聞社の土居英雄代表取締役社長 社長執行役員をお招きし、メディアの立場から、経営協議会委員の立場から、愛媛大学に寄せる期待をお話しいただきました。

【出席者】

・河田 正道(経営協議会委員、南海放送株式会社取締役会長)
・土居 英雄(経営協議会委員、株式会社愛媛新聞社代表取締役社長 社長執行役員)

・合田 みゆき(フリーアナウンサー)
・大橋 裕一(愛媛大学長)

対談の様子

 

三つの戦略を掲げて教育・研究・社会貢献を

合田:まずは、愛媛大学の現状について、大橋学長からご説明をお願いいたします。

大橋:「愛媛大学は輝く個性で地域を動かし世界とつながる大学」を目標に、教育、学術研究、社会貢献に取り組んでおり、これを実現するために三つの戦略を掲げています。一つ目は「地域の持続的発展を支える人材育成の推進」。その最大の目標は、卒業生の県内就職率を50%にすることです。現在が約40%ですから、かなり高い目標設定となりますが、これを実現していくためのプロセス、すなわち如何にPDCAサイクルを回していくかが、非常に重要であると考えています。二つ目は「地域産業イノベーションを創出する機能の強化」。「まち・ひと・しごと」に分けて取組を行っていますが、「まち」においては地域密着型研究センターによる地域の活性化が命題となっています。地方自治体と協働して、紙産業や水産業など、地域の特定の産業を一緒に振興していく取組に加えて、地域全体を幅広く盛り上げようという取組にも力を入れており、これらを全県に広げていきたいと考えています。「ひと」では、リカレント教育プログラムに力を入れており、防災士の育成などにも積極的に取り組んでいます。これらの取組に共同研究や受託研究などを結びつけて、「しごと」への効果が生まれれば、新たな雇用を生み出すことができ、県内就職率50%という目標達成の一助となると考えています。三つ目は「世界をリードする最先端研究拠点の形成・強化」。本学には「地球深部ダイナミクス研究センター」や「沿岸環境科学研究センター」、「プロテオサイエンスセンター」など、世界レベルの教育研究機関があり、共同研究や共同利用の拠点となっています。これら3センターを中心に、研究大学としての機能を維持・発展させていく考えです。
それぞれの戦略を実行するための取組は多岐にわたっていますが、大きなものとしては、平成28年に実施した組織改革が挙げられます。法文・教育・農学部の改組に加えて、「社会共創学部」を新設しましたが、これら一連の取組は、文部科学省からも高い評価をいただいています。

合田:学長のお話を踏まえた上で、河田会長と土居社長は、近年の愛媛大学に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

河田:そうですね。愛媛大学が大きく変わってきたことは、私自身も肌で感じています。かつては取材対象として接した際、どこか壁のようなものがあったように思いますが、今は先生方や職員の皆さん、学生が非常に地域との関わりを大切にしていることが伝わってきます。愛媛大学が地域に対してアクティブに変わろうとしていることを実感しています。改革はまだまだ道半ばでしょうが、さらに地域との関係を大切にしていただきたいと願っています。

土居:私は世界をリードする先端研究機関があり、そこに優れた指導者がいることを誇らしく思っています。「地球深部ダイナミクス研究センター」の入舩徹男センター長や「沿岸環境科学研究センター」の田辺信介センター長、「プロテオサイエンスセンター」の坪井敬文センター長ら、素晴らしい指導者のもとにたくさんの研究成果を挙げていることを、もっとアピールしてもいいのではないかと思っています。

大橋:ありがとうございます。先端研究センターは本学の財産ですから、研究領域を広げたり、別の領域と融合したりして、今後もどんどん進化させていきたいですね。

地域の課題解決を行う地域密着型のセンター大橋学長

合田:「紙産業イノベーションセンター」や「南予水産研究センター」など地域に根ざした教育研究機関もありますね。

大橋:これらのセンターは、愛媛大学の強みの一つなので、いっそう発展させていきたいと考えています。地域からは課題解決への要望も数多く寄せられており、期待の高さを実感しています。

土居:先端研究機関が高度な研究課題に取り組んでいるのに対して、南水研のスマの完全養殖は、地域の産業や経済に直結するという意味で、非常に大きな成果ですね。

河田:防災士の育成に力を入れられているということですが、今、都市型の防災の必要性が高まっており、防災に対して、愛媛大学の叡智や技術がどのように活かされていくのか、非常に関心をもっています。そしてさらには都市景観や都市計画をどのように進めていくのか、ここにも行政と住民、大学が一体となって取り組む必要があると感じています。「アーバンデザインセンター」の運営、街中や道後地区の開発について、さまざまな取組が行われているとは思いますが、今後も大学が積極的に地域へ踏み出して、専門的な知識を反映していただくことで、地域の安全や安心、活力に結びつけていただきたいと願っています。

大橋:本学の社会連携推進機構の「防災情報研究センター」では、防災士の育成を行っており、これまでに約1000人の防災士が誕生しています。市中に防災の知識をもつ方が増えれば、より迅速に災害に対する対応ができますし、万が一の時の復興も早くなります。防災士が増えることは、松山市の防災に対するレジリエンスを高めることにつながります。

土居:今、南海トラフ巨大地震への不安が高まっていますが、地震が起きた際、「防災情報研究センター」と私たちマスコミ機関の連携も重要になりますね。

大橋:そうですね。行政とも連動して、大学からの情報を迅速に市民へと伝える仕組みづくりに、力をいれていきたいです。

「地域がキャンパス」 地域の期待に応える学部

合田:では、最後の話題となりますが、河田会長は社会共創学部、土居社長は国際連携推進機構に興味を持たれているということで、それぞれ質問や意見をお願いします。

河田:人材の育成や産業や経済へのサポート、情報提供など、大学と地域との連携には多様なアプローチがあると思いますが、社会共創学部はそれらを包括する拠点となるのではと期待しています。スタートしたばかりの学部ではありますが、地域からの期待は非常に大きなものとなっています。社会共創学部がよい成果を生み出せるかどうかが、愛媛大学の評価に関わってくると言っても過言ではないと思っています。卒業生の半分は愛媛で就職を…という目標に対しても、この学部の役割は大きいのではないでしょうか。ぜひ、素晴らしい人材を地域に送り出していただきたいですね。

大橋:社会共創学部の合言葉は「地域がキャンパス」です。地域に出て、地域の課題に接して、地域の方々と一緒に解決していく手法を学べるような教育を展開していきたいと思います。また新たに地域協働型センターを県内に新設し、フィールドワークやインターンシップの場を創出するとともに、高大接続、社会人に対するリカレント教育、遠隔授業などを通じて、幅広く地域と接することを視野に入れています。

河田:それは非常に頼もしいですね。私たち企業側から見ると、知識や技術だけではなく、コミュニケーション能力などの人間力の育成もお願いしたいのですが…。

大橋:それこそが、本学のウリになっている「愛大学生コンピテンシー」です。学士力に社会力がプラスされ、コミュニケーション力や協働力を身につけた学生を、地域に送り出していきたいと思います。

土居:そうした人材育成にも関わる部分がありますが、今年、愛媛大学は文部科学省の「留学生就職促進プログラム」採択が決定しました。もともと、国際交流が進んでいた愛媛大学で、留学生の就職支援をしていくということを、私は高く評価しています。能力をもっている方は国籍を問わず活躍できる時代を前に、非常に先進的な取組ができるのではと期待しています。

大橋:採択に際しては、これまで国際連携推進機構が行ってきた取組が、高く評価されました。少子高齢化が進む中、愛媛県あるいは日本の企業に就職する海外出身者が増えれば、大きな力となります。本学では留学生を対象とした日本語教育、キャリア教育、インターンシップにより、即戦力となる人材を育成していく考えです。同時に海外留学のサポートを充実させて、日本人学生のグローバル人材育成事業も活性化していきますが、両事業ともに愛媛の経済界の協力が必要不可欠です。河田会長と土居社長にも、サポートをお願いします。

土居:留学のサポートは愛媛大学の魅力の一つになりそうですね。

河田:そうですね。我々にとっても、海外との交流は日常的な問題です。即戦力が育成されるのはとてもありがたいことです。

大橋:こうした地域の期待に応えていくことが、私たちの大切な使命だと心得ています。産官学の協力体制をいっそう強化して、「オール愛媛」で地域の問題解決を進めていきたいと思っています。今後とも、よろしくお願いします。

合田:本日は有意義なお話ができました。皆様、ありがとうございました。

 

南海放送株式会社取締役会長河田会長

取締役会長 河田 正道

1944年生まれ。1967年3月早稲田大学第一文学部卒業後、同年4月南海放送株式会社入社。経営管理局経営企画部長、総合企画局長、取締役経営戦略局長、常務取締役経営管理本部長、常務取締役報道技術本部長などを歴任し、2008年代表取締役社長、2014年代表取締役会長に就任。2016年6月より現職。

 

 

土居社長株式会社愛媛新聞社

代表取締役社長 社長執行役員 土居 英雄

1948年生まれ。1972年3月香川大学経済学部卒業後、株式会社愛媛新聞社入社。取締役社長室長、常務取締役経営企画室長・新社屋建設準備室長、代表取締役専務・新社屋建設準備室長・印刷センター長・新印刷センター準備室長などを歴任し、2009年代表取締役社長に就任。2014年4月より現職。

 

聞き手合田

合田 みゆき  

1971年愛媛県松山市生まれ。1993年愛媛大学教育学部小学校教員養成課程卒業、同年に南海放送株式会社に入社。アナウンサー、報道記者として活躍する。2010年に同社を退職後は、フリーアナウンサーとして活躍中。